有機ELの供給拡大がスマートフォンVRの拡大を後押し

一方、スマートフォンを活用したVRに関しても、新しい動きが見られた。IFAに合わせてLGエレクトロニクスが発表した新しいスマートフォン「LG V30」の発表会を実施した際、グーグルの関係者が登壇。時期は不明ながらも、Android上で提供されているVRプラットフォーム「Daydream」を、日本でも提供開始することを明らかにしたのである。

「LG V30」の発表に合わせ、グーグルはDaydreamを日本と韓国で展開することを明らかにしている

Daydreamに対応するためには、VRコンテンツを快適に利用するため、液晶より応答速度が速い有機ELの採用が必要とされている。だがスマートフォン向けの中小型有機ELディスプレイは、サムスン ディスプレイ以外の生産体制がまだ整っていない。日本で有機ELディスプレイを搭載した機種も、独自のVRプラットフォームを持つサムスン電子製のもの以外は数が少なかった。

だがLG V30は有機ELディスプレイを搭載しており、日本でも昨年「V20 Pro」が投入された実績があることから、日本投入の可能性も十分考えられる。そうしたことからグーグルは、LG V30の発売に合わせて日本でもDaydreamの提供を開始するものと考えられそうだ。

ちなみにLGは、グループにディスプレイ事業を手掛けるLGディスプレイを持っており、LG V30の有機ELディスプレイも同社製のものだ。LGディスプレイは、サムスン ディスプレイに先を越されていた中小型の有機ELディスプレイの量産に向けた体制がようやく整いつつあると言われており、LG V30への有機EL採用も、そうした動きの一環と見ることができよう。

LG V30の有機ELディスプレイはグループ企業のLGディスプレイ製。サムスン ディスプレイ以外の供給体制が整いつつあることは、VRが普及する上で非常に大きな動きとなる

有機ELの最大の課題であった供給体制が徐々に整いつつあるだけに、来年以降は有機ELディスプレイ搭載スマートフォン、ひいてはDaydream対応スマートフォンが大幅に増えることになるかもしれない。