米VMwareは8月28日(現地時間)、これまで「クロスクラウドアーキテクチャ」として提供していたサービス群を拡充し、「VMware Cloud Services」ブランドとして提供していくと発表した。その詳細を、同社が開催する年次テクニカルカンファレンス「VMworld 2017」の基調講演内で明らかにした。

会場となったネバダ州ラスベガスのMANDALAY BAYホテル。展示会場にはRSA、AWS、IBMなど多くのパートナー企業がブースを構えた

米VMwareでCEOを務めるPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏は、「現在は部門単位で、異なるクラウドやオンプレ環境を運用している企業が多い。その結果、クラウドやその上で稼働するアプリケーションはサイロ化してしまった。これでは、可視性の喪失や管理の複雑化、セキュリティリスクの増大という事態を引き起こす。これらを解決するには、一貫した運用管理とインフラストラクチャが必要だ」と訴えた。

米VMwareでCEOを務めるPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏

VMwareは今回の「VMworld 2017」で「一貫性の重要さ」を強調している。それは、ネットワークとセキュリティの一貫性であったり、オンプレミス/パブリッククラウド環境における管理画面の一貫性であったり、「一貫性」の内容はさまざまだ。「VMware Cloud Services」はこうした一貫性を確保するためのサービス群であり、以下の7サービスを包含する。

  • VMware Network Insight
  • VMware NSX Cloud
  • VMware Discovery
  • VMware Cost Insight
  • Wavefront by VMware
  • VMware AppDefense
  • VMware Workspace ONE

「Network Insight」は、パブリッククラウドやSDDC(Software-Defined Data Center)向けのネットワークとセキュリティを分析するサービスであり、仮想ネットワークソフトであるNSXの展開と運用を支援するものだ。具体的には、マイクロセグメンテーション展開のプランニングやコンプライアンスの確保、ネットワーク・パフォーマンスの最適化などを実現する。また、NSX環境のベストプラクティスの照合で、設定ミスなどによる障害の削減を支援し、管理業務の簡素化にも貢献する。

「NSX Cloud」は、NSXが提供する機能をパブリック/プライベート環境を問わず利用できるサービスだ。ユーザーは単一の管理コンソールと共通のAPIを通じ、アプリケーションのロケーションを気にすることなく、ネットワークとセキュリティポリシーを適用できる。

「Discovery」は、マルチクラウドのイベントリ情報をクラウドアカウントと集約し、クラウド内で何が実行されているのかを可視化する。また、「Cost Insight」は、クラウド構築/運用にかかるコストを分析する機能を提供する。主な支出項目を特定してコストの透明化を図り、クラウドコストの最適化を支援するという。

「Cost Insight」は、クラウド構築/運用にいくら費やしているのかを可視化し、コストの最適化を図る(ことを支援する)

「Wavefront」は、クラウド・アプリケーションのモニタリング・プラットフォームである。これは2017年4月にVMwareが買収したウェイブフロントが有していたもの。アプリケーションのパフォーマンスインサイトをほぼリアルタイムで収集し、分析/可視化する。

「VMware Cloud Services」に新たに追加された新サービスが、「AppDefense」である。これは、仮想環境/クラウド環境で稼働するアプリケーションを保護するもので、攻撃の検知基準を『意図状態から逸脱した振る舞いをした時』に定義するというアプローチをとる。VMwareは、セキュリティ分野のサービス拡充に注力しており、AppDefenseはVMware初のセキュリティに特化した製品となる。

「AppDefense」は「正しい振る舞い」の定義から外れた振る舞いを検知し、アラートを挙げる。「誤検知が激減する」と同社は主張する