4つめはiOSで、iOS 11を公開。さまざまな発表があったが、「メッセージ」アプリ内でApple Payと組み合わせて個人間でお金を送金できるようになったこと、Siriに翻訳機能がついたこと(残念ながら日本語の翻訳には非対応)、「マップ」アプリに車線ガイダンスやショッピングモール、空港内のガイド機能が追加されたこと、App Storeのインタフェースが新しくなったこと、ARアプリの開発キット「ARKit」が追加されたことなどが目新しい。
このうち個人間送金は海外ではさまざまなベンチャーが参入している分野だが、iOS上での体験をアップル自身が決済手段も含めて提供したのは大きい。例えばグループで食事に出かけて割り勘するとき、iPhoneユーザー同士であれば全部iMessage上で要求された金額を送ればいいだけだ(対してAndroidユーザーは現金を取り出さねばならない)。一気に数億もの潜在的ユーザーが生まれるのも大きい。
数億の潜在ユーザーという意味ではARKitも注目される。これは2年前にアップルが買収した「Metaio」社の技術ベースだと思われるが(デモが同社の「Junaio」のデモにそっくり)、基調講演のデモでは反応速度も環境との合致度も見事な映像が生み出されていた。ARはVRよりも特別な機器が必要ない点で優れており、アップルも力を入れていく分野だと表明しているが、開発者たちの反応が待ち遠しい。
App Storeもインタフェースが変わり、「Music」アプリに似た画面構成に変わっている。個人的にはApp Storeは「偶然の出会いが得られるよう、リストがたくさんあること」「カテゴリごとのランキングが見られること」「確実に検索できること」が重要で、新デザインでそのあたりの体験がどうなるのか、やや気がかりだ。