グーグルは5月17日から、米国カリフォルニア州マウンテンビューで開催した年次開発者会議Google I/Oで、軽量版となるスマートフォン向けOS「Android Go」を発表した。

グーグルはこれまで、非常にベーシックなGoogle体験を実現するスマートフォン「Android One」を新興国などで発売しており、日本でも格安SIMとの組み合わせで、スマホ入門の層への訴求を行ってきた。

Androidの月間アクティブデバイスが20億を突破。Android Oneから仕切りなおして新興国開拓を進める(画像:Google Blogより)

しかし、Android Oneは当初の100ドル以下で快適に動作する、というコンセプトから外れ、OSやアプリの高機能化、そして端末メーカーの利益確保などの観点から、価格の上昇と高スペック化が進んでしまった現状がある。これを是正し、改めてベーシックなAndroid環境を構築し直そうという戦略を垣間見ることができる。

低スペックのスマホでもきちんと使えるAndroid Go

Android Goのコンセプトは、低スペックのスマートフォンでも、快適なスマホライフを実現できるようにすることだ。目安として、100ドル以下のスマホに多い1GB以下のメモリでも、十分快適に動作させる、という目標を実現する。ベースとなるのは、今回ハイエンドスマートフォン向けに発表されているAndroid Oとなる。

Android Goで注目すべきは、OSだけに留まらない環境作りだ。これには、動作速度だけでなく、アプリそのものの保存容量の縮小、データ使用量の削減が挙げられる。

例えば、既にリリース済みのYouTube Goでは、アプリの軽量化はもちろんのこと、Wi-Fi環境でビデオをダウンロードして再生する機能を揃え、低スペック、低データ通信量をYouTube体験にもたらしている。またブラウザであるChromeも最適化を行い、データ使用量の削減をはじめから実現させるという。

加えて、Google Playでも、軽量版のアプリを紹介する。

Facebook LiteやSkype Liteといった軽量版のほか、キャプチャではLINE Cameraも、軽量ながらカメラのエフェクトが楽しめるアプリとして紹介されている。データ使用量、バッテリー消費量、そしてアプリのサイズに気遣ったアプリが、新興国で受け入れられることを、開発者に対してもアピールしていくことになるだろう。