アップルのビジネスモデル

アップルのビジネスモデルはグーグルやフェイスブックの広告モデルではなく、デバイス販売が主だ。アップルのビジネスの65%以上を占めているのがiPhoneの販売だ。

既に飽和状態にある先進国市場では、iPhoneの高性能化によって買替え需要を喚起し、長年使ってもらう事でより大きな保存容量を求めてもらい、結果的に平均販売価格の上昇を実現する戦略を採っている。

iPhoneの現在の平均販売価格は、2017年第1四半期決算で695ドルに達しており、多くの人々がより大容量、大画面のiPhoneを求めるようになったことを表している。

アップルはデバイス販売によって利益を上げるため、利益が出ないデバイスや、それらをターゲットとした軽量版のOSを作るメリットがないのだ。その結果、世界のスマートフォンビジネスの9割の利益をアップルが独占する状況を作り出している。

一方、新興国での市場拡大には、別の理由で、100ドルスマートフォンのリリースを行っていない。

現在iPhoneのラインアップには、399ドルの4インチスマートフォン、iPhone SEを用意しており、2017年3月の刷新で、内蔵する保存容量を倍増させ32GBとした。しかし、この価格は前述の100ドルスマートフォンの4倍だ。新興国向けとは言え、購買力のあるそうをターゲットにする戦略を崩していないのだ。

その理由は、新興国でのユーザー拡大のインセンティブには、App StoreやApple Musicといったサービス部門での売上拡大をゴールとしている点だ。

アップルはサービス部門だけで、四半期に70億ドルの売上を達成しており、前年同期比で15-20%の成長を続けている。新興国の中でも価格が高いiPhone SEが購入できるユーザーをターゲットとすることで、先進国市場と同じ端末販売とサービス利用による売上拡大のモデルを維持しようとしているのだ。

ビジネスモデルの違いから、新興国市場への取り組みやターゲットの違いを見せるグーグルとアップル。今後も、Androidの利用者数のシェア拡大は続いていくが、利益シェアの構造は、アップルが堅持していく体制が続いていくことになるだろう。