被災地復興を目的に、宮城県と「ポケモンGO」が同県石巻市を舞台に実施したイベントが、期間中に約10万人の観光客を集め、経済効果は20億円程度にのぼったことがわかった。

イベントは、宮城県がポケモンGOを運営する米ナイアンティック社と共同で、同県石巻市で11月11日~21日までの11日間にわたり開催したものだ。期間中、石巻市内でゲーム内のアイテム出現ポイントを追加申請できたり、希少ポケモン「ラプラス」が大量出現するといった特別な施策が行われた。

Pokemon GO Japanのツイートより

宮城県によれば、イベントを目当てに集まった観光客数は約10万人で、経済効果は、同県の1人当たり平均観光消費額をもとに試算して約20億円。なお、希少ポケモンの出現はもともと11月23日までと予定していたが、22日の福島県沖地震の発生によりイベント終了を前倒していた。

地図情報/GPS技術とAR技術を活用した位置情報ゲームであるポケモンGOには、プレイヤーが実際に現地に足を運ぶことを促し、観光振興への効果がもともと期待されていた。実際に、鳥取県が鳥取砂丘を「ポケモンGOの聖地」化し、観光客増に取り組んだこともある。

アクティブユーザー数が当初より落ち着き、また、ながらプレイでの交通事故などネガティブな話題も散見する「ポケモンGO」だが、人々を惹き付ける魅力がまだ一級品であることを証明したと言えよう。ナイアンティック社はポケモンGOのベースとなった位置情報ゲーム「Ingress」でも、東北震災復興イベントに積極的だった背景がある。東北や熊本など被災地が、再び多くの人の活気であふれる日を目指し、今後もポケモンGOのような位置情報ゲームは熱い視線を浴びることになるだろう。

また今回は被災地復興として注目されたが、地域の観光振興という観点でもゲーム技術を活用した動きは広がりをみせている。例えば2010年には、任天堂の携帯ゲーム機向け恋愛コミュニケーションゲーム「ラブプラス+」の旅行先として、熱海を舞台にAR技術を活用したイベントが実施されている。ARや位置情報ゲームが、リアルな集客に繋がる動きは、さらに加速する可能性を秘めている。