SoftLayerが、Bluemixブランドに吸収されるとの発表があったが、IBMクラウドを含めてクラウド事業のブランドはどう再編されるのか?

Boulla:SoftLayerのブランドは引続き、これまで通りにインフラサービスも継続的に提供していくことになる。Bluemixはアプリの開発者向けのサービスであり、そのためにはインフラでも、プラットフォームでもなんでも使ってもらいたいという考え方がある。そして、IBMクラウドはWatsonやBluemix、SaaSを含んで、IBMが提供するすべてのクラウドサービスのことを指すことになる。

先頃、VMwareとAWSが協業することを発表した。オンプレミスの移行先として、IBMクラウドだけではなく、AWSが有力な候補になることについてはどう感じるか?

Boulla:IBMは、2016年2月にVMwareとの提携を発表し、さらに今年夏には、この関係をさらに拡張した。このパートナーシップに基づいて、VMwareを活用しているユーザーはすでに1000社にのぼる。この技術を活用できるように、両社はトーレニングに対する投資を強化してきた。VMwareとの連携によって最も価値が生まれるのは、VMwareマネジメントツールがシームレスに使えることだ。

IBMはクラウドビジネスを始めたときからハイブリッドクラウド環境を追求し、アプリケーションをどこで実行するかということに関して選択肢を用意してきた。すべてのデータをオンプレミスからクラウドに移行するということが正しい選択ではないということも提示してきた。オンプレミスにあるプライベートクラウドと、クラウドプロバイダーによるパブリッククラウドの両方をサポートすることが大切だ。いまの市場の流れを見れば、我々のやっていることが正しいということが検証されたといえる。

今回のIBM World of Watson 2016の基調講演では、Watsonについて、これまでの「コクニティブ」という発言から、「AI」といういい方に変わったが、それはなぜか?

Boulla:我々がコグニティブという場合には、Watsonテクノロジーのことを指している。機械学習、データセットの理解、意思決定を支援するという役割がある。それがコグニティブである。AIは長年使われている言葉だが、AIは使う人によって微妙に意味が違う。その広い部分まで指した際には、WatsonにもAIといういい方を用いるが、Watsonそのものにはコグニティブという表現を続けることになる。

今回のIBM World of Watson 2016においては、数々の新たなサービスが発表されているが、そのなかでも注目しておくサービスは何か?

Boulla:今回、新たなクラウドサービスのひとつとして、コグニティブ機能をクラウドビデオテクノロジーに適用して、ビデオコンテンツの内容や視聴者の好みを深く理解し、差別化し、カスタマイズした視聴体験を提供できるものを発表した。これは、クラウドビデオテクノロジーにWatsonを対応させたものだ。ビデオは、インターネット上のトラフィックとして高い成長を遂げているが、機械がビデオの中身を解釈することは難しかった。だからこそ、我々は動画データのことを「ダークデータ」と呼んできた。データの中身が見えないからだ。

新サービスでは、コグニティブの力を使って、このダークデータの中身を照らし、解き放つことができるものになる。IBMは昨年、ClearleapおよびUstreamといった企業を買収した。このことからもビデオに力を注いでいることがわかるだろう。今回の新サービスにおいて提供するライブイベントストリーミングは、WatsonのAPIをIBMクラウドのビデオストリーミングリューションと組み合わせて、そのなかかキーワードを抽出。ソーシャルメディアへの投稿と照らし合わせながらその内容を分析して、ほぼリアルタイムでライブイベントに関する視聴者のソーシャルメディアの反応を追跡することが可能だ。

また、ビデオシーン検出では、鍵となるところにマーキングをすることができ、トピックやシーンが変わったときに、対象コンテンツを見つけることが容易になる。ただ、これは単に変わったところにマーキングをするのではなく、コグニティブの力を活用してなぜ変わったのか、どのように変わったのかということも理解してマーキングするものになっている。これまでは手作業で行われていた作業が、コグニティブによってすべて自動化され、作業の短時間化が図れられる。さらに、ソーシャルメディアで視聴しているものや発信しているものに対して、WatsonのAPIを使用することで、視聴者の好みなどを特定。これによって、これまでにはないサービスを実現することができる。