シャープと東芝の2社は、電機大手8社(日立製作所、パナソニック、ソニー、東芝、富士通、三菱電機、NEC、シャープ)のなかで、負け組企業に位置づけられている。だからこそ、シャープは台湾の鴻海精密工業の傘下となり、東芝の白物家電事業は中国マイディアグループに買収された。それが多くの人に共通した認識だ。
実際、両社の業績は厳しい。
シャープが発表した2015年度(2015年4月~2016年3月)の連結業績は、売上高が前年比11.7%減の2兆4615億円、営業損失は前年の480億円の赤字から悪化し、マイナス1,619億円の赤字。経常損失は前年の965億円の赤字から悪化し、マイナス1,924億円の赤字となった。当期純損失は前年の2,223億円の赤字から、マイナス2,559億円へ広がった。2期連続の大幅な赤字となり、債務超過の状態に陥っている。
2016年度第1四半期(2016年4月~6月)も、売上高は前年同期比31.5%減の4,233億円、最終赤字は前年から改善したものの、274億円の赤字が残り、債務超過額がさらに膨らんだ。 鴻海精密工業による出資は、6月23日に開催された株主総会において承認されたものの、その後、中国での競争法当局の認可取得が難航。8月11日にようやく審査が完了。払い込みが行われることで債務超過は解消することになる。今後は、新体制へと移行することで、新たな事業体制での再建が始まることになる。
子会社売却でひと息ついた東芝
一方の東芝は、2015年度の連結業績は、売上高は前年比7.3%減の5兆6,701億円、営業損失は前年の1,884億円の黒字からマイナス7,191億円の大幅な赤字に転落。税引前損失は1,566億円からマイナス6,422億円の赤字。当期純損失は前年の378億円の赤字から、マイナス4,832億円の赤字。営業損失、最終損失の赤字は、いずれも過去最大となった。
東芝も、2015年度末には、自己資本が1,500億円にまで減少。債務超過に陥る直前であったが、キヤノンに、医療システム子会社の東芝メディカルシステムズを、6,655億円で売却。これにより、財務的には一服つくことができた。さらに、白物家電事業も、同事業を担当する東芝ライフスタイルの株式の80.1%を中国マイディアグループ(美的集団)に約537億円で譲渡。これも、東芝の財務体質の改善につながっている。 しかし、どちらも白物家電については、業績悪化の決定的な要因にはなっていない。