説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iPhoneからファクスを送信できますか?』という質問に答えます。

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基本的には、iPhoneからファクスを送信することは可能です。ただし、サービスの大半が文書データをパケットに置き換えてインターネット経由で転送する「インターネットファクス(IPファクス)」であり、送受信に電話回線網を利用する旧来のファクス端末(G3ファクス)とは使い方が多少異なります。

IPファクスは、ファクス番号の代わりにIPアドレスまたはホスト名を指定します。インターネット網を利用できるためG3ファクスより転送速度に優れ、通信コストを低く抑えることもできます。通信プロトコルにSIPまたはH.323を利用するタイプのIPファクス端末であれば送受信でき、旧来の3Gファクスとも通信機器(ゲートウェイ)を設置すれば通信できます。

ただし、iPhone/iOSにはIPファクスのクライアント機能が標準装備されていないため、サードパーティが提供するアプリ/サービスから利用することになります。現在App Storeで公開されているファクスアプリを見るかぎり、ユーザから文書をクラウド経由やメール添付などの方法で受け取り、それを指定されたファクス番号へ送信するという橋渡し的な役割を担うものがほとんどです。前述した通信プロトコルなどの技術的背景はユーザからわからないように設計されており、各社各様のシステムで運営されています。

そのような事情から、G3ファクスのように送信/受信が一体の通信システムではなく、送信と受信が分離されているサービスが多く見られます。送信専用のサービスもあれば専用ファクス番号が割り当てられ受信可能なサービスもあり、月額基本料金や送受信1件あたりの料金にも差があります。

質問の趣旨がファクスの継続利用ではなく、とりあえず送信できればOKというのであれば、『FAX.de FreeFax International』というアプリが便利です。1日に1枚までという制限はあるものの、初期費用や月額料金なしに無料でファクスを送信できます。いまどきのファクスの利用頻度を考えれば、これでほとんどの用は足りてしまうかもしれませんね。

iPhoneから直接ファクスを送信することは簡単ですが、自分の目的にあったアプリ/サービスを見つけなければなりません