KDDIは「au経済圏の最大化」
KDDIが目指すのは「au経済圏の最大化」だ。これはauの顧客基盤(au ID)とサービスを結び付けて収益を上げようとする取り組みだ。サービスには、ビデオパス、ブックパスといったデジタルコンテンツがあり、食品、日用品といった物販、生命保険、損害保険、住宅ローンといった金融商品も取扱う。auショップ、スマホ経由のいずれにも対応し、生命保険や住宅ローンなどはスマホとのセットで特典を受けられるなど、利用者メリットを提供していく考えだ。
ただし、auショップの活用を考えた場合、スマホの販売減も響いてきそうだ。保険や住宅ローンなどは、商品比較、特徴の把握に時間がかかり、対面での説得がもろに効きそうなサービスだ。それであれば、auショップ店頭での勧誘がもっとも効果的となるが、スマホの販売が減るなら、商品と触れる接点も少なくなってしまう。店舗に足を向けさせる、そのあたりの戦略も必要になるだろう。
さらに、KDDIの場合、デジタルコンテンツのキャリアフリー戦略はとっておらず、またMVNOについても、KDDIのネットワークを利用した事業者自体が限られている。その点を踏まえてKDDIの田中社長は、MVNOの活用については今後の課題としている。
見えぬソフトバンクの戦略
最後にソフトバンクだが、現時点で同社の戦略は見えづらい。ドコモやKDDIのように「スマートライフ領域」「au経済圏の最大化」といったキーワードがないからだ。
直近の決算会見では、ソフトバンク光を"成長のドライバー"として活用するとアナウンスされたが、光回線と携帯電話回線のセット売りはドコモ、KDDIも実施しており、戦略上の目新しさは感じられない。ただし、孫氏自身も今後について「日々の生活においてユーザーがスマホを使うという度合いを深めていくことが必要。通信以外のサービス収入をいかにあげるかが大切」とコメントしており、今後、ソフトバンクがどのような戦略に出るのか注目されるところだ。