ただ、冒頭で紹介した高さ390mの日本一高いビルを擁する「常盤橋街区再開発プロジェクト」については、三菱地所の野心が見え隠れする。同計画では地上37階(約230m)、地上61階(約390m)の高層ビルが竣工予定だが、やはり390mのスケールは壮大だ。これは、現在日本一高い大阪「あべのハルカス」(デベロッパー:近畿日本鉄道)の高さ300mをはるかに上回る。

390mの超高層ビルが計画されている常盤橋地区

あべのハルカスが竣工するまで、日本一高いビルは高さ296.33mを誇った「横浜ランドマークタワー」だった。実はこの横浜ランドマークタワーのデベロッパーが三菱地所。1993年の開業以来、あべのハルカスができる2014年まで、およそ21年間“日本一高いビル”の座に君臨してきた。ところがわずか3.67mの差でその座を明けわたしたことになるのだ。だが、竣工予定の2027年になればその座を奪い返し、あべのハルカスは13年しかその座につけなかったことになる。また、あべのハルカスに対し90mも高い事業計画は、“竣工後は数十年間日本一の座に”というねらいがあるのかもしれない。

さて、ここまでは丸の内エリアの建物、いわばハード面について紹介したが、次回は“街を活性化”させるソフト面について解説したい。

大江戸膨張! 東京再開発の現場

●日本橋から新産業を! 熱気あふれるベンチャー支援の現場
●虎ノ門再開発にみる“創業地”に込めた森ビルの強い想い
●33年越しの悲願達成! 再開発完了にわく新生“ニコタマ”の姿
●タワークレーンが消えない街 -“丸の内エリア”の再開発はなぜ終わらないのか【後編】
●タワークレーンが消えない街 -“丸の内エリア”の再開発はなぜ終わらないのか【前編】