江戸城を築いた名将・太田道灌が「虎は千里行って千里帰る」ということわざにあやかって、出陣の際に通った門を「虎ノ門」と名付けたという。これは東京・虎ノ門の由来の一説だが、これほど雄々しい地名は都心部ではあまり見かけない。道灌が通ったとされる門はすでに撤去されているが、地名としてかの名将の偉業を今に伝えているといえよう。そして現在、地名に劣らない雄々しさで、この地に「虎ノ門ヒルズ」がそびえている。

2019年の竣工を目指し急ピッチで計画

プレゼンテーションを行う森ビル 代表取締役社長 辻慎吾氏

この虎ノ門ヒルズのデベロッパーである森ビルが、この地区の再開発についての発表会を開催した。プレゼンテーションを行った同社代表取締役社長 辻慎吾氏によると、2016年中に「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」「虎ノ門ヒルズ レジデンスタワー」を着工、両ビルとも2019年の竣工を目指すとしている。さらに2022年度を目標に「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」を竣工させるとした。つまり、現在営業している虎ノ門ヒルズに加え、3棟のタワーがこの地に新たに生まれることになり、都内でも有数の高層ビル群地になる(発表されたビル名はすべて仮称)。

それぞれの概要は以下のとおり。ビジネスタワーは36階建てで約94,000㎡(約28,000坪)のオフィススペースと、約6,300㎡(約1,900坪)の商業施設からなる。レジデンスタワーは地上56階建てで約600戸の住宅を提供する予定。ステーションタワーは、虎ノ門ヒルズと同等規模となる予定で、東京メトロが約20年ぶりに開業する新駅「日比谷線虎ノ門新駅」(仮称)の上に建ち、オフィスや商業施設、ホテルなどが入居する複合ビルとして利用される。

会場で展示されていた2種類の模型。左の写真は北側から眺めた想定。左のビルからビジネスタワー、虎ノ門ヒルズ、レジデンスタワー、ステーションタワーと並ぶ。右の写真は南側から眺めた想定。この場合、一番左のビルがステーションタワーだ