米Appleの開発者向けカンファレンス「WWDC15」の基調講演では、iOSデバイスの次期OSとなる「iOS 9」、Apple Watch向けの「watchOS 2」ほか、多数のトピックスが出た。今回の発表会、日々、モバイルニュースを追っているライターの目にはどう映ったのか。ライターの一条真人氏に記してもらった。
ソフトウェアで進化するのがアップルの真髄
今回の発表ではハードウェアはなく、ソフトウェアばかりで、これにがっかりした人もいるようだ。しかし、ソフトウェアだけの進化というのは、ユーザーとしてはありがたいことなのではないだろうか? なぜなら、特にハードウェアを買い換えることなく、より進化した機能を味わえるのだから。
以前から、Appleは他社と比較してソフトウェアに熱心な会社だった。これは初代Macのころでもそうだったし、AppleIIに至ってはほとんど同じハードウェアで10年現役だったのだから、もはや、AppleのDNAと言っていいだろう。
アップル独特のハードウェアの細部まで性能を引き出すような改善ができるのは、アップルがハードウェア、ソフトウェアのすべてをコントロールしているがゆえだ。これはまた、ハードウェアのロングライフ化にも寄与している。iOS 9はiPhone 4sにも対応しているというが、このロングライフ性は現在のAndroid端末にはないものだ。
「El Capitan」で何が変わるか
さて、今回、新バージョンが発表されたOS.Xの名称は「El Capitan」(おおかたの予想通り、無料アップデート)。描画エンジン「Metal」によって、なんとシステムレベルのグラフィックレンダリングを最大で50%高速化させているという。これは単純にハードウェアを50%高速化したのと同じ効果があるわけで、インパクトがある。
この描画の高速さなどによって、アプリケーションの起動は最大で1.4倍、アプリの切り替えは最大2倍高速化されるという。使い続けているMacがアップデートだけで高速化されるのだから、ユーザーの心に響かないわけがない。