消費電力測定(グラフ116~117)

最後はこれで締めたい。いつもの通り、待機状態及び3DMarkのFireStrikeのDemoを実行した際の消費電力変動を測定してみた。まずグラフ116が実際の実効消費電力である。

ただこれにはシステム全体の分が加味されている。待機中の消費電力を測定すると

  • GTX 780 Ti:66.2W
  • GTX 980:74.4W
  • GTX 980 Ti:71.1W

という数字だったので、これを抜いたのがグラフ117である。

さて、これをみると中々面白い。冒頭の表1にも示したが、今回の製品のうち、GTX 980のみがTDP 165Wで、あとの2つはいずれも250Wとされる。グラフ117を見ると30秒あたりから200秒あたりまで、GTX 980はほぼ180Wといったところで、これはGPUに加えてCPUやらメモリやらのフル稼働の増分を加味した数字でほぼ納得がいく。

問題は、GTX 780 TiとGTX 980 Tiである。GTX 980 Tiは70秒程度まで、GTX 780 Tiは115秒程度まで260W程度を維持する。これはGPUがフル稼働+CPUやメモリの増分と考えれば納得できる数字だが、なぜかこのあとどちらも220W程度に消費電力が下がる。

これは何か? といえば、要するにオーバーヒートで許容温度限界に達してしまったので、動作周波数を定格に落とした(逆に言えば、当初はBoost動作していた)ためと思われる。

実際GTX 980 Tiはベンチマーク中、ファンが完全にフル稼働していた。ここでもう一度表1を見ていただくと、温度耐性が一番高いのがGTX 980で98℃。GTX 780 Tiは95℃で、GTX 980 Tiは92℃となっている。

今回の場合、GTX 980はASUSの強化されたクーラー(DirectCU II)+Dual Fanでかなり熱的にはゆとりがあったと思われ、なので常にBoost動作が可能だったが、リファレンスモデルの2つはそこまでのゆとりがなく、まず一番きついGTX 980 Tiがダウン、GTX 780 Tiはもう少し粘ったものの115秒あたりで力尽きたというあたりではないかと思う。

まぁ「定格動作できればいいじゃないか」という考え方はあるのだが、とりあえずリファレンスのままだと熱的にはかなり苦しいことが消費電力測定で判ったのは中々有用であった。このあたりはOEMメーカーがどんな冷却機構を投入するかで差別化が一層進むことになりそうだ。