総務省は何をしたいのか?

では、総務省は何をしたいのでしょうか? ここに総務省が作成した政策の資料があります。「モバイル創生プラン」というタイトルで、この中にSIMロック解除について触れている部分があります。そもそも「創生」とは辞書を引くと「初めて作る」といった意味で、すでにあるモバイルをいまさら作ることなど不可能なのですが、おそらくは、役人言葉としてあまり追求しないことにしておきます。一応中に「経済の創生」とか「我が国創生」といった表現があるので、まあ、産業振興ということだとしておきます。

SIMロック解除については、「もっと自由に」というタイトルのページがあり、ここで「端末を買い換えずに他の事業者の通信サービスに乗り換えられる」という表現と、「2年間の継続利用を条件に、基本料金等の料金が割り引かれるとともに自動更新される『期間拘束・自動更新付契約』の運用を改善」という記載があります。つまり、SIMロックの解除と拘束期間ルールの運用改善はセットになっているようです。

「もっと自由に」ということでSIMロック解除の義務化と期間拘束・自動更新付契約の運用改善があげられている(出展:総務省「モバイル創生プラン」)

たしかに、大手3社のMNO(ドコモ、ソフトバンクモバイル、KDDI)による契約の2年縛りと違約金、そして自動更新ルール(2年目を越えた一カ月間しか違約金なしで解約できない)は、横並びで、契約解除を面倒なものにしています。この部分だけを見ると、総務省は、MNO間でユーザーの流動性を高めたいようにも思われます。

しかし、この資料にはまだ続きがあります。次のページには「もっと身近に」ということで、MVNO(仮想モバイルネットワーク事業者。自身では設備を持たず、MNOからネットワークを借りてサービスを提供する通信事業者)を推進するような記載があります。

2つめは、「もっと身近に」ということで、MVNOの推進が取り上げられている(出展:総務省「モバイル創生プラン」)

このMVNOに関して、「安くて安心して使えるモバイルの推進」というのがあり、総務省としても、携帯電話の通信料金を下げたいと努力しているようです。この点は、すべての携帯電話ユーザーにメリットのある話です。実際、このMVNOの推進については、大きな成果が上がっており、たしかにMNOに頼らなくても安価な通信料金を享受できています。