5月から開始されるSIMロック解除義務化に向けて、NTTドコモとKDDIがその対応を発表した。両社ともに全く同じ内容で、180日間の継続利用ののち、SIMロック解除ができる、というもの。

このSIMロック解除義務化は、総務省のガイドラインによって定められ、昨年12月の改正で、従来の「事業者の自主的な取り組み」から義務へと強制となった。この結果、ユーザーにとってはどんなメリットがあるのだろうか。

SIMロック解除義務化とは

携帯電話・スマートフォンは、SIMカードと呼ばれる小さなICカードに、携帯キャリアの情報などを書き込み、それを端末に挿入することで通話や通信が行われる。端末はこのSIMカードを認識して携帯ネットワークに接続しようとするが、指定したキャリア以外のSIMカードが挿入されると、端末がネットワークに接続できないようにするのがSIMロックだ。

SIMロックがかけられると、キャリアの契約を解約したあとに残った端末が他のキャリアでは使えなくなってしまう、海外旅行時に現地のSIMを使って現地の価格で通信を行うことができない、といったデメリットがある。

数万円の端末を購入しても、他のキャリアでは使えないということで、キャリアを継続する動機になるし、MNPで多額の補助金を出して端末の買い替えを促すというビジネスモデルの一因になっている、と総務省は指摘する。

今回のガイドライン改正によって、5月以降に販売される「原則としてすべての端末」でSIMロック解除が可能なようにしなければならなくなった。今回のドコモとKDDIの発表では、ガイドライン通り、一部を除いたすべての端末でロック解除が可能になる。一部というのは、キッズケータイや見守り端末、フォトフレームといったSIMロック解除が困難な端末か、特定の周波数や通信方式にしか対応していない端末に限られる。両事業者とも明言はしなかったが、今後発売されるであろうiPhoneもこのSIMロック解除の対象になるはずだ。

次期iPhoneもSIMロック解除の対象になるはず

ガイドラインには、「最低限必要な期間はSIMロック解除に応じない」ことは認められており、ドコモとKDDIではこれを180日間と設定している。本来、「必要最小限の措置」のみが認められているのに対して、180日間という長期間がそれに当たるかどうかは議論の余地があるだろう。

特にドコモは現在、購入後に即日SIMロック解除が可能になっており、現状との整合性がとれていない。ガイドラインではこの最小限の措置について、端末の割賦代金の踏み倒しや、いわゆる転売問題などを防止することを例に挙げているが、ドコモがこれまでこうした問題に言及したことはない。今までSIMロック解除に対応していなかったiPhoneの影響も考えられるが、現時点では定かではない。

いずれにしても、5月以降発売の端末を購入して6カ月経過すると、Webサイト経由であれば無料でSIMロックを解除できる、ということになる。これまで、ドコモのスマートフォンを海外で利用するためにロック解除していた人にとっては、6カ月経たないと使えないわけで、不自由になったのは確かだ。