NTT東西が光回線を卸売りする「光コラボレーションモデル」を利用したブロードバンドサービスの発表が相次いでいる。携帯キャリアでは、NTTドコモのほか、ソフトバンクが同モデルによる光回線サービスの提供を発表しており、携帯電話・スマートフォンと光回線をセットにして料金を割引く"セット割"の提供も予定している。

スマートフォンと固定回線のセット割としては、すでにKDDI(au)が同社の光回線サービス「auひかり」などの固定回線と、auスマートフォン、携帯電話をセットにして割引く「auスマートバリュー」を2012年より提供しており、これで主要3キャリアのセット割が出揃うことになる。

そこで本稿では、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社のセット割を比較し、どのキャリアのスマートフォン・固定回線のセット割が最もお得なのかを検証してみたい。

各社のセット割を単身利用で比較

それでは、各社のセット割の概要をおさらいしながら、単身で契約した場合の割引額を比較してみよう(以下、料金は税抜)。

各社セット割を単身利用した場合の割引額を比較

NTTドコモ「ドコモ光パック」

ドコモのセット割である「ドコモ光パック」は、同社の新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」の契約ユーザーが対象の割引サービス。そのため、すでに新規受付が終了している旧料金プランの「タイプXi にねん」などの契約ユーザーは対象外となる。また、固定回線としては、同社が光コラボレーションモデルで提供する光回線サービス「ドコモ光」を利用する。

同サービスの割引額は、カケホーダイ&パケあえるのパケット定額サービスのデータ量に応じて異なり、月間2GBのプランが毎月500円割引、5GBのプランが毎月800円割引、8GBのプランが毎月1,000円割引などとなっている。

KDDI(au)「auスマートバリュー」

一方、KDDIの「auスマートバリュー」は、auスマートフォン、携帯電話向けのデータ定額サービスと、指定の固定通信サービスに加入することで適用される割引サービス。スマートフォン向けのデータ定額サービスとしては、新料金プランの「カケホとデジラ」に加えて、従来プランの「LTEフラット」など(スマートフォンのみ)も対象。また、固定通信サービスとしては、「auひかり」などの光回線ほか、「J:COM」などのケーブルテレビの固定通信サービスも対象になっている。

割引額はデータ定額サービスのプランごとに異なり、カケホとデジラの月間5GB以上のプランおよびLTEフラットでは、最大2年間が毎月1,410円の割引、3年目以降は毎月934円の割引となる。また、カケホとデジラの月間5GB未満のプランは、毎月934円が割引される。そのため、比較表の月間2GBのプランでは毎月934円割引、5GBと8GBのプランでは毎月1,410円割引となり、いずれもドコモより割引額が多くなっている。

ソフトバンク「スマート値引き」

また、ソフトバンクのセット割である「スマート値引き」は、同社の携帯電話・スマートフォンと、傘下のソフトバンクBBが提供する固定通信サービスを一緒に契約することで料金が割引されるサービス。対象の固定通信サービスには、光コラボレーションモデルを利用した「SoftBank 光」のほか、「Yahoo! BB ADSL」や「SoftBank Air」なども含まれる。

割引額はデータ定額サービスのプランごとに異なり、新料金プラン「スマ放題」の月間2GBのプランは毎月463円割引、5GBのプランは毎月1,410円割引、10GB以上のプランは毎月1,852円割引となっている。そのため、上記の比較表では、月間2GBのプランが3社でもっとも割引額が少ないが、5GBのプランではKDDIと同様になる。なお、スマ放題では月間8GBのプランが用意されていないため、ヘビーユーザーであれば10GB以上のプランを選択せざるを得ず、そもそもの通信料金が上がってしまうことに注意が必要だ。

このように、3社のセット割を単身利用で比較してみると、もっとも利用者の多い月間2GBから8GBのプランでは、いずれもKDDIの割引額が多く、お得と言える。

各社のセット割を家族利用で比較

次に、各社のセット割を家族で利用した場合に、家族全体の割引総額がどのようになるかを比較してみよう。

各社セット割を家族で利用した場合の割引総額を比較 ※拡大画像はこちら

まず、ドコモの「ドコモ光パック」では、家族でデータ量を分け合えるシェアパックを利用可能だ。しかし、セット割による割引額は、固定回線ごとに適用されるため、結果として割引額も家族で分け合うことになり、人数が増えても家族全体の割引総額は変わらない。

一方、KDDIの「auスマートバリュー」では、固定通信サービス1回線につき、最大10回線のスマートフォン、携帯電話に割引が適用される。ドコモとは異なり、家族1人ひとりの料金が割引されるため、人数が増えるほど割引額も多くなるのが特徴だ。ドコモとKDDIを比較すると、1人あたり月間15GBを利用するといった特殊なケースを除き、いずれもKDDIの割引総額がドコモを上回っている。

また、ソフトバンクの「スマート値引き」では、KDDIと同様に、固定通信サービス1回線につき、最大10回線の携帯電話・スマートフォンに割引が適用される。家族1人ひとりの料金が割引されるため、いずれのケースでもドコモより割引総額が多い。しかし、KDDIとの比較では、データ量の少ないプランの割引額が少ないため、家族4、5人で月間10GBから15GBを利用するような一般的な世帯の場合、KDDIのほうが割引額が多くなる。一方、2、3人の少人数で月間20GBから30GBを利用するようなケースでは、ソフトバンクのほうが割引額が多くなる場合がある。

家族で利用する際に、各社のセット割で大きく異なるのは、KDDIとソフトバンクが1人ひとりの割引となるのに対し、ドコモは世帯ごとの割引となる点だ。そのため、家族全体の割引総額では、KDDIとソフトバンクが優位になり、とりわけ、利用者が多いであろうライトユーザーからミドルユーザーの世帯の場合、KDDIの割引額がもっとも手厚くなると言えそうだ。

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本稿では、ドコモ、KDDI、ソフトバンク各社のセット割について、単身利用と家族利用で比較してみた。世帯ごとの割引となるドコモ、家族1人ひとりが割引されるKDDIとソフトバンクといったように、各社のセット割の内容には違いがある。実際の利用料金は、戸建向けやマンションタイプといった固定回線の種類や、家族の人数、月間で利用するデータ量など、各自のケースによって異なってくるが、家族全体でどのくらいお得になるのかをよく吟味して、自身に最適なセット割を探してみてはいかがだろうか。