アプリ経由の支払いにトラブル?

少しだけ冷静な立場からApple Payのユーザー体験を論評した記事をNew York Timesで見つけたので紹介したい。「Apple Pay: Seamless in Stores, but Quirky Online」を執筆したMolly Wood氏は、「ストアでの1日のショッピング体験で、新しい支払いシステムは便利でトラブルもなく、面白い」と感想を述べている。

一方で「アプリ経由でのショッピングについては話が別で、発展の余地が多く存在し、(機能も)限定的で、動作にバグがあったり、いくつかのショッピングで複数回チャージを経験した」と、ユーザー体験に問題があったことを報告している。

つまり、実店舗でのNFC経由の支払いでは特に問題もなくスームズな一方で、アプリ経由の支払いはトラブルが多く使い勝手も悪いというのだ。アプリへのApple Pay実装は、アプリを開発するサードパーティ開発者に委ねられており、この部分のUIの作り込みの甘さがユーザー体験の低下につながっているというわかりやすい例だ。例えば、ショッピングカートで複数の商品を一度にチェックアウトできなかったり、事前のユーザー登録や発送先住所の逐次入力など、全体に操作面での問題が多い点が挙げられている。

別途クレジットカードのサインが求められる場合も

この記事ではいくつか重要な情報も紹介されている。一部店舗(Macy'sやWhole Foodsなど)では「Apple Pay」ロゴの掲出が行われて同サービスへの対応がアピールされているという。また、一部店舗ではTouch IDによる支払いだけではだめで、別途クレジットカードのサインが求められるケースもあるという(Bloomingdale’sやWalgreensなどでの事例が報告されている)。

ただ、NYTのケースでは特定金額(25ドルや50ドルなど)をオーバーした際にのみサインをBloomingdale’s店舗で求められたとしていたが、Walgreensでは15ドル程度の支払いでサインを要求されているなど、店舗ごとの差異がある、あるいは条件が異なるのかもしれない。これは日本のおサイフケータイを除けば、法令でPINコードなしの決済金額上限が定められている欧州などではごく普通の対応で、筆者もフランスとリトアニアで「タップ&ペイ」とは別に、1000~2000円程度の支払いを境にPINコード入力を求められるケースに遭遇している。