Apple Payで注目したい2つの技術

筆者個人としてApple Payの技術で注目したい点は2つで「Touch ID利用でiPhoneがスリープ中でもPIN入力や端末ロック解除なしに支払いが可能」「クレジットカードのデータはiPhone内のSEのみに保存され、Apple自身も把握していない」が非常に画期的だと考えている。

前者は利便性に大きく作用する部分で、これまで失敗した多くのサービスを踏まえ、Appleが「おサイフケータイ」の利便性を実現したことが大きい。

そして後者だが、Googleを含む多くの事業者であればおそらく「クレジットカードを自社のクラウド内のサーバに保持」する方法を選択していたはずで、これをあえて放棄した点がAppleのすごいところだと筆者は考える。行動履歴取得や広告連動など、一番マネタイズが可能な部分にも関わらず、ある意味で責任を放棄する形でそれを手放したのは英断だといえるだろう。これがセキュリティ性をさらに高める一方で、「Apple自身にはApple Payで大きな利益をもたらさない」と考える理由だ。おそらくは、AppleにとってのApple Payは「(囲い込みにおける)ユーザーサービスの一環」に過ぎないと予想する。