ソニーは9月17日、2014年度第2四半期(2014年7月1日~9月30日)において、モバイル・コミュニケーション(MC)分野にかかる営業権1,800億円の全額を減損として営業損失に計上すると発表した(営業権は、日本の会計基準でいう「のれん」に相当)。

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この減損により、2013年7月に行われた第1四半期(2014年4月1日~6月30日)決算発表の際に示した2014年度通期(2014年4月1日~2015年3月31日)での連結業績見通しを、営業損益、税引前損益、最終損益(当社株主に帰属する当期純損失)のいずれにおいても約1,800億円下方修正。当社株主に帰属する当期純損失は△2,300億円となった。

ソニーでは今回の減損を計上するに至った経緯を、MC分野における実績、事業環境の変化等に基づく中期計画の見通し変更によるものと説明する。変更後の中期計画では、従来の想定より将来キャッシュフローが減少する見通しとなり、MC分野の公正価値が減少。このため、減損1,800億円が計上されることとなった。

従来のMC分野における中期計画では売上高の大幅拡大を目指していたソニーだが、今回策定した中期計画ではMC分野の戦略を変更。モバイル事業の環境変化を踏まえ、事業リスクや収益変動性を抑えてより安定的な収益計上を見込めるようにする。具体的には、一部地域における戦略見直し、高付加価値モデルへの資源集中、普及価格帯モデルの削減を行うという。

9月時点(今回)の見通し 7月時点の見通し 前年度
売上高及び営業収入 78,000億円 78,000億円 77,673億円
営業利益(△は損失) △400億円 1,400億円 265億円
税引前利益 △500億円 1,300億円 257億円
当社株主に帰属する当期純損失 △2,300億円 △500億円 △1,284億円
※ 金額は米国会計原則に基づく。△はマイナスを表す。
※ のれん:合併や子会社化等のM&A時に買収(取得)側の企業が支払った対価を、取得する被買収企業の売上債権や固定資産といった会計基準上個別に計上が求められる資産に割り振った後の残額をいう。被買収企業が持っている超過収益力などと定義されることが多い。