米Amazon.comが18日に発表した同社初のスマートフォン「Fire Phone」は良くも悪くも人々の予想と異なるものになった。評価すべきところ、疑問符のついた箇所について触れてみたい。

まず評価したいのは、Dynamic Perspectiveセンサーを搭載してハードウエアで独自性を示したこと。スマートフォンは成熟期を迎えてプラットフォーム依存が進み、ハードウエアが差別化要因ではなくなってきた。iOS、Android、Windows Phoneという違いはあれども、それらを搭載した端末のハードウエアの構成に大きな違いはない。ところが、Amazonは他とは違うハードウエア機能を搭載し、サードパーティ向けにDynamic Perspective SDKも用意して、独自にスマートフォンの進化を試みている。

画面に触れることなく端末を傾けるだけで、立体的に表示されたエンパイア・ステート・ビルディングを様々な方向から見られる

問題は、それがユーザーとアプリ開発者に受け入れられるかだ。Dynamic Perspectiveは、ユーザーの頭の動き、端末の傾きや動きを常にトラッキングするセンサーシステムである。Amazonはこれを「奥行きと広がりのある表現」と「ユーザーインターフェイス(UI)とナビゲーション」に活用している。Fire Phone発表前、Amazonが開発しているスマートフォンは3D立体視が可能になるという噂が報じられた。Dynamic Perspectiveを活用した表現は立体視とは異なるが、ディスプレイの向こう側に別の世界が広がっているようなユニークな効果を生み出している。一方、Dynamic Perspectiveを活かしたナビゲーションは、例えばFire Phoneを傾けたり、回転させるだけで、指で画面に触れることなく、メニューパネルへのアクセスや自動スクロールなどが可能になる。