8GBモデル発売国に共通すること

現在、8GB版iPhone 5cの販売が確認されているのは、英国、オーストラリア、中国、ドイツ、フランスの5カ国で、日本と米国は含まれない。5カ国に共通するのはiPhoneの市場シェアが低い点で、逆にiPhoneシェアの高い日本と米国が現時点で含まれていないことからも、それは察することができる。

iPhone 4Sの8GB版ではなく、比較的最新のiPhone 5cで市場シェア確保を狙うのは、それだけAppleが本気で市場攻略を進めたい意志の表れだと筆者は予測する。iPhone 4/4Sは現在もなお日本や米国以外の地域では主力端末の1つとして販売が継続されており、特に途上国においてはこうした端末が安価に販売され、一定の人気を保っている。中古買い取りビジネスが成立する理由の1つだ。

米Apple StoreではiPhone 4Sの8GBを販売

インドやインドネシア、ブラジル向けに製造ラインが再稼働したという話もあり、それだけコスト的にはこなれていることがわかる。本来であれば、製造コストの大幅に低下したiPhone 4Sを上記5カ国に投入することで、本当の意味での「低価格iPhone」を実現できるはずなのだが、それを実行しないのは「日本や米国以外のiPhoneが苦戦している地域でも"iPhoneブランド"を確立させたい」のでは、という考えだ。

現在、米国での販売がないため、8GB版iPhone 5cの価格は5カ国での差分からの予想でしかないが、SIMフリー版iPhone 5cの16GBモデルが549ドル、32GBモデルが649ドルとなっており、おそらく8GB版は500ドル前後の水準だとみられる。

iPhone 5s 16GBモデルのSIMフリー版が649ドルであることを考えれば、150ドルほど安くなる。iPhone 4S 8GBモデルのSIMフリー版が450ドルなので、それよりは若干プレミアを付与されている形だ。この価格は販売が開始された5カ国のユーザーの目にはどう映るのだろうか?