iPhoneに関しては、扱いの悪さも目立っている。Apple Storeや代理店はともかく、携帯キャリアのショップではコーナーの隅っこにiPhone 5sが少し陳列されているだけで、レイアウトもApple準拠のものではなく、携帯ショップ独自の簡素なものだ。多くの店では展示スペースの大部分をSamsung製品が占めており、同国でのシェアを反映させたものであることがわかる。

中国移動通信(China Mobile)でのiPhone 5sの展示。ちゃんと3機種揃っており(ゴールドモデルはなぜか撤去されている)、実はいろいろ見て回ってきた店舗の中では最も扱いがいいほうだ。なお、iPhone 5cの表記はあるものの、実際に展示が行われているケースはほとんどない

その他は中国系メーカー各社の携帯が数機種ずつ展示されている感じで、この中でiPhoneは数ある端末の1つといった扱いになっている。また、展示されているのはiPhone 5sばかりで、十数軒ほどショップをチェックしたが、iPhone 5cが展示されていたのは、(Apple Storeを除けば)つい先日オープンしたばかりの中国聯通(China Unicom)の販売店1つだけだ。

少なくとも中国での主役はiPhone 5cではなくiPhone 5sであり、iPhoneそのものもそれほど人気ではなく、注目はむしろ看板を積極的に掲げているXiaomiなどにあるのだと考えられる。なお、中国ではApple Storeが販売しているのは中国電信(China Telecom)向けの製品のみで、中国聯通と中国移動通信向けの製品は両キャリアのショップまたは代理店で購入しなければならない。キャリアショップでの扱いが悪いということはつまり、それだけ販売機会を逸していることを意味している。

深センを定点観測しただけではあるが、この国でブランドを確立しつつあるのは、むしろ既存の中国メーカーや新興系の注目メーカーであり、iPhoneはその足場を確立できないまま、これらメーカーに人気を奪われている可能性があるということだ。比較的裕福な住民の多い深センでさえこの現状であり、iPhoneになおのこと手の出ないであろう中国の他の地域の在住者はよりその傾向が強いと思われる。

欧州はまた違った事情があると思われるが、今回の深セン探訪はインパクトが大きく、現状中国で起きつつある変化を感じ取ることができた。もしAppleがiPhoneで本格的に中国市場攻略を考えた場合、iPhone 5cではない相当に強力な製品やインパクトを持ち込まなければならないだろう。