「なぜこのタイミングなのか」といえば、TSMCの20nm製造プロセスが比較的安定してきており、すでに安定した製造実績を持っているSamsungから移管できるだけの準備が整いつつあることが1つにある。

A8の委託製造先はTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング)に? 画像はTSMCウェブサイト

32nm製造プロセスから28nm製造プロセスに移る際には安定性を重視して委託先変更は行われなかったが、今回の20nm移行では比較的早い段階から準備が進められ、今回のようにTSMCへの移行の話が出てきた可能性がある。

ただし、過去に最新プロセスで歩留まりが上がらずにファブレスの半導体メーカー各社が製品出荷計画修正を余儀なくされ、iPhone自身もQualcommのチップ製造計画遅れで影響を受けたように、TSMCの最新プロセスでの製造では何かとトラブルがつきまとっている。

こうした状況においてなおAppleが委託先にTSMCを選択したのであれば、前述のように大事を取って製造開始を従来より大幅に前倒ししたという説明がつくのも納得できる。その意味で、SamsungからTSMCへ製造業者が入れ替わったという可能性も十分に高いといえるし、TSMCが製造トラブルを抱えて大量の受注オーダーを捌かなければいけないiPhoneで供給不足が発生する可能性というのも、先の話である程度はカバーできると推測できる。