CF-LX3を最初に手にしたときにはその軽さに驚いた。

14.0型液晶ディスプレイを搭載したノートPCとして想定される重さを前提にして、両手で持ったせいもあるだろうが、一瞬、「これって、もしかしたら1kgを切っているのかも」と錯覚するほどの軽さだった。

実際の重量はドライブレスモデルで1.14kg。スペック以上に、その軽さには驚く。

「これまでにも大画面モデルを投入してきたが、まだまだ軽さへの挑戦はできるだろう。それが開発当初からの共通認識だった」と安政主任技師は語る。

また、パナソニック AVCネットワーク社ITプロダクツ事業部テクノロジーセンター機構設計チーム・田中慎太郎主任技師も「Bシリーズが1.9kg、Fシリーズが1.6kg、Yシリーズが1.5kgという重量。これを詰めたらどこまでいけるか。その挑戦の結果がCF-LX3。一方で、社内で検証をした際に、1.2kgを切ると圧倒的に軽いと感じることがわかった。1.2kgを切ることは最初から掲げた大きな目標だった」と、軽量化への挑戦がCF-LX3に課されたテーマであったことを示す。

パナソニック AVCネットワーク社ITプロダクツ事業部テクノロジーセンター機構設計チーム・田中慎太郎主任技師(右)

最初のモックアップでは1.2kgを切る目標は達成したが、そこから堅牢性の追求や、バッテリ駆動時間の延長といった点で改良を加えると、自ずと重量が増加することは容易に想定された。

だが、そうした改良を加えながらも、「軽量化を維持する数々の工夫によって、1.2kgという目標からさらに下げることができた」(田中主任技師)という。

軽量化と堅牢性の両立は困難

堅牢性を維持しながらの軽量化への工夫は多岐に渡る。それはまさに工夫の連続だ。

「どれかひとつの要素で軽量化が図れたわけではない。部品ひとつひとつの軽量化への積み重ねが、1.14kgの軽量化につながっている」(田中主任技師)

ひとつは、トップケースの構造を見直した点だ。

たとえば、B11で採用していた樹脂構造では、軽量化と堅牢性の両立は困難であるため、厚みを犠牲にして堅牢性を高めていた。今回のCF-LX3では、樹脂を薄型化するとともに、強度が求められる部分をマグネシウムとし、樹脂とマグネシウムの2つのパーツを組み合わせることで、軽量化、薄型化、堅牢性を同時に実現した。

樹脂とマグネシウムの2つのパーツを組み合わせ、軽量化と堅牢性を両立した。ドライブ部分にマグネシウム、その他の部分に樹脂を採用する

さらに、このマグネシウム部分をうまく利用することで、ドライブの天板部を取り払う新設計のトレー型ドライブを開発。これによって、34gもの軽量化につながったという。

天板部を省いたドライブ。穴を開けることでも軽量化を図る

「Let'snoteの光学ドライブは長年に渡り、パナソニックシステムネットワークスと共同で開発を進めてきた経緯がある。今回のドライブの軽量化のアイデアも、お互いの長年の関係によって実現したもの」(田中主任技師)というわけだ。

さらに液晶パネルも、厚さ0.25mmのガラスをCF-LX3用に調達したことで、薄型化と軽量化を実現。基板のレイアウトもコネクタ類の配置をまとめるなどの工夫により、当初は3枚のサブボードで設計していたものを2枚に削減し、軽量化につなげている。

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