本体のパームレスト部はプレス加工で、シンプルさを追求することで、「操作時には、電源スイッチなどが邪魔にならず、それでいて自然と目がいくような形にした」という。
削り加工を加えるために、キーボードカバーの厚みは、通常使用している0.75mm~0.8mm厚ではなく、1.2mm厚とした点も見逃せない。
肉厚のアルミ素材を利用することで、最後の削り加工に対応する一方で、内側からも薄くできるところは薄く加工しながら、面全体で耐200kgf荷重という堅牢性を実現する構造とした。
アルミ素材を肉厚化することは全体の厚みを増やすことにつながるが、「外側からしっかりと構造を作り込むことができるため、UH75/Hで採用していた内部の格子状樹脂フレームを廃止しても堅牢性を実現できる。これが新たな超圧縮ソリッドコア構造です。結果として、全体の薄さにつながることになる」と、富士通 パーソナルビジネス本部第一クライアントプロダクト事業部メカニカルデザイン技術部の松下真也氏は語る。ボトムケースに肉厚0.5mmと薄い材料を使っていることも薄型化に寄与している。
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富士通ユビキタスビジネス戦略本部パーソナルプロダクト統括部第一プロダクト部 江尻道彦部長(左)と、富士通 パーソナルビジネス本部第一クライアントプロダクト事業部メカニカルデザイン技術部の松下真也氏(右) |
開発当初に用意したモックアップと比べても、製品開発が進むにつれて薄さは改善されていった。「最初のモックアップよりも薄く、仕上がりのいいものができあがった」(岡本氏)と自信をみせる。
ディスプレイまわりに使用しているマグネシウムも板厚は0.75mmと、一般的にはPCでは使用しない薄さ。この加工には富士通化成のノウハウが生かされており、その結果、タッチパネルを搭載しながらもディスプレイ側を薄型化することに成功している。
さらに、ボタンやキーボードの外周部に施されたダイヤモンドカット加工や、正面左右に設けられた微細なスピーカー孔の処理なども、こだわりの部分だといえよう。
ちなみに、キーボードのストロークは約1mmとなっているが、富士通コンポーネントが開発したキーボード「Libertouch(リベルタッチ)」の技術を応用することで、押下圧をコントロール。文字キーは重めに設定し、しっかりとした打鍵感を実現する一方、Enterキーなど入力頻度の高いキーは軽めにすることで、大きなキートップの端を押した場合でも反応し、快適な入力ができるような工夫も凝らしている。
そして、「タッチパネルを使用している際にも、ディスプレイがぐらぐらしないように、ヒンジの軸位置や底面のゴム足の位置にも配慮。安定してタッチ操作ができるように工夫を凝らしている」(安藤氏)という。この操作性も、堅牢感の実現につながっている。
こうした取り組みによって、薄さと剛性感、そして使い勝手を高い次元でバランスをとった仕上がりとしているのだ。
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