実は、LIFEBOOK UH90/Lは、同社が取り組んでいる「磨き上げプロジェクト」の第1号製品である。
磨き上げプロジェクトは、既存製品をベースに、富士通が持つ技術やノウハウを生かすることで、さらなる進化を目指したもの。スタートは2012年度からで、モバイル系の製品を中心に数製品が対象となっており、LIFEBOOK UH90/Lに続いて、今後いくつかの製品が登場することになるという。
LIFEBOOK UH90/Lの場合は、2012年に発表された14型Ultrabook「LIFEBOOK UH75/H」での経験をもとに、磨き上げを図った製品ということになる。
実際、LIFEBOOK UH90/Lの開発に携わったメンバーの多くが、LIFEBOOK UH75/Hの開発経験者でもある。「UH75/Hで実現した強みをしっかりと押さえながら、その上に富士通が持つ強みを最大限に生かし、モバイル分野において、最高の製品を作り上げる。それがUH90/Lだ」と江尻氏は位置づける。
「刀」をコンセプトするLIFEBOOK UH90/Lは、その意味を、まずはデザインから感じ取ることができるだろう。
ノートPCは、一般的にバックカバー、LCDカバー、キーボードカバー、ボトムカバーの4層で構成される。LIFEBOOK UH90/Lでは同じ構造ながら、閉じたときには上下二枚の板が、がっちりと合わさるように見えるシンプルな外観を追求。薄さを追求しながら、『密度のある塊』を感じる外観を演出することで、堅牢性の高さを感じさせることにも成功している。
パーツ同士の嵌合線が見えにくい「塊」は、LIFEBOOK UH90/Lならではの造形だ。
「薄さを追求すると、その裏返しとして、剛性感に弱いというイメージが出てしまう。その相反しがちな要素をうまく両立させるデザインを目指した」と、岡本氏は胸を張る。
そのこだわりを具現化したのが、キーボードカバー部に施した特別な加工だ。
キーボードカバー部は、プレス加工したあとに、側面部を削り落とす工程を加えることで、90度に近い角度で落とし込むようなデザインを実現。これが、「緻密さや品質の高さを自然と感じる」効果となって表れている。
「加工コストが高くなること、工程が増えるといったことから見送られてきた加工方法だったが、『刀』が目指すそのディテールにこだわる上では避けられない加工だった。日本の開発現場から細かい指示を出して実現した加工」と岡本氏は語る。ここにも日本のモノづくりならではのこだわりが生きている。
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