ThinkPad Helix最大の"キモ"は着脱機構
さて、いよいよ、Helixの最大の特徴となっている着脱機構について触れる。まず、見た目がメカメカしていて、とにかくクール、かっこいい……と言い始めると冗談っぽいが、実際にかなり"男の子ゴコロ"をくすぐる見た目と仕組みになっている。Helixの開発責任者は大和研究所の女性と伺ったが、「きっとリアル志向のロボットものとか好きな方に違いない」などと妄想してしまったほどだ。
Helixにはキーボードドックとの組み合わせで、4つの形態が存在する。まずは普通にドッキングした定番の「ノートブックモード」、キーボードドックを外したタブレット単体の「タブレットモード」の2つ。そして、Helixではディスプレイ部を表裏逆にしてもそのままドッキングできる機構となっており、それを利用してディスプレイを背面側にドッキングした「スタンドモード」、その状態でディスプレイを閉じた「タブレット+モード」の、あわせて4つだ。
各形態では、IntelがSandy Bridge投入時に提唱していたConfigurable TDP技術(参考記事はこちら)を利用し、ノートブックモードではフル性能を出し切るTDP17W枠、タブレット+モードとスタンドモードではTDP13W枠、タブレットモードでは最も熱設計に配慮しバッテリ消費も抑えるTDP10W枠へと、3段階に動的にTDP枠を制御している。
このConfigurable TDPの仕組みは、薄型かつタブレット運用の制約があるなかでも、性能を最適化しようと試みたもので、Helixの冷却機構と密接に連携している。Helixは、システム全体としては3基の冷却ファンを備えている。メインのファンとなる1基は、タブレット側のCPUを中心としたメインハードウェアを冷却する役目を担っている。そこへの吸気エアフローは、タブレット下部の着脱機構側に設けられた吸気スリットから導入するが、一方でエアフローとは逆方向に、CPUなど主な熱源からのヒートパイプで、同じく吸気スリット側に設けられた金属シンクまで熱を分散している。
残り2基の冷却ファンはキーボードドック側だ。ドッキングをした状態だと、ちょうど前述のタブレット下部の吸気スリットに隣接する位置に設置されており、この2基のファンで空気を送り出し、タブレット側のエアフローを強化する仕組みになっている。このため、薄型のタブレットモードを実現する低TDP枠と、ドッキング状態のノートブックモードでCPUパワーを最大に活かせる高TDP枠の両立が可能になっているのだ。
エアフロー図。エアーは下から上に抜ける。ドッキング時は、キーボードドック側の2基の拡張ファンで風量を増加させる仕組み |
この仕組みにより、モードに応じて冷却機能が最適化され、Configurable TDPとの連携で最適な性能を引き出している |
また、キーボードドック側のファンがむき出しにならないよう設置されたカバーの機構が凄い。ノートブックモードでディスプレイを閉じた際には、天板面がフラットになるようにデザインされたカバーなのだが、本体ヒンジとは別の軸機構とすることで、稼働中の冷却ファンの外気取り込みを妨げない隙間を設けつつ、ディスプレイと干渉せずに、ディスプレイ開閉に追従して動作するカバーパーツを実現している。まぁそんなことより、何より見た目と動きが"かっこいい"というのが筆者的には最大のポイントだが……。文章で説明するのは少し難しいので、その動きについては以下の写真などでも確認してみてほしい。
カバーと開閉ヒンジの解説資料。冷却エアー取り込みを邪魔することなく、デザインを損なわない追従開閉を実現している |
で、まずはこれがディスプレイを閉じた状態での写真。カバーは本体にぴったりあわさっており、天板の一部としてフラットになっている |
ほか着脱そのものについても細かいこだわりが光る。タブレットをドックに固定しているイジェクトラッチを押し込むと、着脱完了までロックを解除した状態を保持する仕組みになっているなど、片手で無理なく着脱できる様にいくつかの工夫が施されている。また、本機ではケンジントンロックのセキュリティ・キーホールがドック側にスライド収納されているのだが、これを引っ張り出している状態だと、先ほどのイジェクトラッチが押し込めないという仕組みになっている。