Configurable TDPでクラスを超えるパフォーマンス

定番の総合ベンチマークソフトを利用して、ひととおりのパフォーマンスも見ておきたい。下に結果を示すとおりだが、同等のプロセッサをベースとした一般的な仕様のノートブック並みのスコアであることが確認できた。ストレージ性能はかなりの高水準であったので、これのみ別途、転送速度も計測している。ちなみに今回借用した試用機では、CrusialのC400 SSDを搭載していた。

「Windows エクスペリエンス インデックス」のスコア。CPU統合のものを利用しているグラフィックスを除けば、総じて高スコア

「PCMark 7」のスコア。こちらもGPU能力が気になるくらい。フルHDでまわしてこれだけ出れば十分だろう

「CrystalDiskMark」も試してみた。シーケンシャル実測でリード400MB/秒、ライト200MB/秒を超えている。ランダムもかなり速いSSDだ

薄型のコンバーチブルUltrabookながら、普通のノートブック並みのパフォーマンスを実現している要因は、前述した3段階のConfigurable TDPによるものだろう。試しに、CINEBENCH R11.5を用いたCPUテストで、ノートブックモード(TDP17W枠)、スタンドモード(TDP13W枠)、タブレットモード(TDP10W枠)での、それぞれのスコアおよびCPU動作クロックも見てみた。結果は以下に示すが、パフォーマンスがきれいに最適化されている様が確認いただけるだろう、なお、TDP制御であることから、環境温度でTurbo Boostによる動作クロックの違いがでる可能性があり、TDPを制限するモードでは結果は絶対値では無いことを留意いただきたい。

ノートブックモード(TDP17W枠)でのCINEBENCHスコアは「2.88」。ベンチ実行中のCPUクロックは3GHz弱まで伸びた

スタンドモード(TDP13W枠)でのCINEBENCHスコアは「2.45」。ベンチ実行中のCPUクロックは2.5GHz弱

タブレットモード(TDP10W枠)でのCINEBENCHスコアは「1.98」。ベンチ実行中のCPUクロックは2.1GHz弱

現行コンバチの最高峰レベル、不満は"自前"メンテナンス性くらい

ThinkPadは、過去を振り返ってみても、たま~に"変な"(失礼!)こだわりギミックを搭載したモデルを突然出してきたりする。手書きの紙ノートがついていて、そこにペン書きするとデータ入力も同時にできる「ThinkPad TransNote」や、ディスプレイを開くと折りたたまれたキーボードが左右に展開し、小型なのにフルサイズキーボードが利用できる「ThinkPad 701c」や、最近だとメイン液晶ディスプレイの右サイドから、小型の内蔵サブ液晶を引っぱり出せる「ThinkPad W700」などなど。ThinkPad Helixは、ちょっと理屈抜きで、そういう"変な"(失礼再び)ThinkPad列伝の1ページとして、「将来使わなくなっても自宅のミニPC博物館にコレクションできるじゃん!」などという思いとともに欲しくなる。

このメカメカしさに、おおうっ! と思えれば問答無用で買いじゃないかなあ、と。ThinkPadなら、「これ仕事マシンだから、あくまで仕事マシンだから」で"言い訳"も簡単だし……

という冗談はさておき、ThinkPad Helixは、Windows 8のタッチUI操作を活かしきることができる、タブレットでもクラムシェルでも制限無く最適化できているマシンだ。質実剛健と機能美のThinkPadの特徴も強く感じられる。お財布具合との相談を別とすれば、現行のコンバーチブルUltrabookの最高峰の一台と言いたくて仕方がない。筆者の物欲センサの反応具合では、ソニーの「VAIO Duo 11」と同じくらいのコンバチ不動の2トップだ。

一方で、不満に思えた点がまったくないのかと言うと、これが少しはあったりもする。まずメンテナンス性だ。ThinkPadは伝統的に長く使えるノートパソコンであった。その理由は、元々の堅牢性に加え、自前で出来るメンテナンスの範囲がひろいことだった。メモリ交換どころか、キーボード交換も容易、ストレージもネジ1本で交換でき、慣れれば本体バラバラ分解もできる内部ハードウェアへのアクセス性の良さがあった。Helixは中身へは殆どアクセスできない。バッテリも交換できない。X1 Carbon以上の特別なハードウェアなので、無いものねだりにはなるが……。

それとIvy Bridgeである。と言うのも、Intelプロセッサで次世代のHaswellが年内にも発表と見込まれている。Helixのフォームファクタに入るような低電圧版のHaswellが、果たしてそんなにすぐに出るのかどうかはわからないが、万が一買って半年とかでHaswell版Helixが出たりすると、筆者たぶん泣きます。