ICT総研は2月18日、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル、イー・アクセス(イー・モバイル)、UQ WiMAXの5社が提供しているモバイルルーターを全国168地点において実測調査した。下り通信速度が最も速かったのは、ソフトバンクの「ULTRA WiFi 4G」、上り速度はauの「au 4G LTE」だった。

今回の調査は、個人ユーザーが外出先でモバイルルーターを利用してインターネットに接続する需要を考慮してのもの。1月22日から2月12日まで調査を行った。調査方法は次の通り。各モバイルルーターをモバイルノートパソコンにつなげてインターネットに接続し、通信速度測定サイト「RBB TODAY スピードテスト」を利用して通信速度を測定。1つの測定地点で下り、上りそれぞれの通信速度を各3回ずつ測定した。各地点では、施設・街区の入口前付近を測定場所とした。

全国168地点における通信速度の測定結果 (拡大画像はこちら)

調査では、政令指定都市の代表的地点をピックアップしたこともあり、調査対象とした5キャリアの5機種全てがLTEもしくはWiMAXの電波を受信できた。このため、LTE受信エリアの優劣比較とはならず、通信速度のみの調査結果比較となる。ちなみに今回の調査で使用したモバイルルーターは、NTTドコモ「L-03E」、au「HWD11 (Wi-Fi Walker LTE)」、ソフトバンク「102HW」、イー・モバイル「GL04P」、UQ WiMAX「WM3600R」。調査に使用したモバイルノートパソコンはacer「Aspire V5」だった。

下り速度はソフトバンクがトップ、東名阪で強み

実測の結果、下り通信速度が最も速かったのはソフトバンクの「ULTRA WiFi 4G」で、下り通信速度の全国平均は17.27Mbpsだった。次点はKDDI(au)の「au 4G LTE」で16.63Mbps。ソフトバンクは全国21都市のうち14都市で下り通信速度トップを記録し、全21都市で10Mbps以上の下り通信速度を記録した。特に東京から名古屋にかけての7都市、堺から神戸にかけての3都市など、東名阪のエリアで強みを見せた。ちなみにICT総研が2012年11月に実施した「全国200地点スマートフォンLTE通信速度実測調査」や「新幹線全97駅スマートフォンLTE通信速度実測調査」でもソフトバンクがトップとなっている。

上り速度はKDDI(au)がトップに

上り速度はKDDI(au)のau 4G LTEが9.15Mbpsでトップを記録した。上り通信速度トップの都市数は21都市中20都市と、他を圧倒する結果を見せた。ICT総研の過去の通信速度調査ではiPhone 5をauの調査対象機種として使用しており、周波数帯が狭いためにLTE受信エリアが限定的だった。しかし今回の調査ではiPhone 5の限定エリアにとらわれずに測定できたため、下り・上りともに通信速度が大きく増加したと考えられる。

NTTドコモは下りで4位、上りで5位

NTTドコモの「Xi」は下り通信速度の全国平均が9.25Mbps(5社中4位)、上りが1.93Mbps(5社中最下位)と低調な結果になった。特に上りは他社に大きく差をつけられる厳しい状況。しかし、札幌市では下り15.74Mbpsでトップ、仙台市でも17.39Mbpsと良好な結果を記録した。同社では2012年11月より一部のエリアで下り最大100Mbpsのサービスを開始しており、2都市がこの対象エリアであったことが要因だと考えられる。

イー・モバイル、UQ WiMAXは苦戦

イー・モバイルのEMOBILE LTEは、下り通信速度の全国平均が9.89Mbps(5社中3位)で、2位のKDDI(au)の16.63Mbpsとは大きく離されている。ソフトバンク、KDDI(au)の2社と比べると、通信速度の速い地点と遅い地点の差が大きかったことが苦戦の要因だと考えられる。一方、上り通信速度は7.10MbpsでKDDI(au)に次ぐ2位。横浜市ではトップを記録するなど、強さを見せた。下りと上りの通信速度の差が最も小さいキャリアだった。

UQ WiMAXは、下り通信速度の全国平均が8.25Mbpsで最下位、上りが3.34Mbpsで5社中4位という結果になった。しかし21都市中5都市で下り平均10Mbps超を記録しており、理論上のベストエフォート値が小さい(下り40Mbps)ことを加味すれば、善戦した結果であると言えそうだ。

全測定地点一覧 (拡大画像はこちら)

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ICT総研の過去調査(2012年11月実施)では、キャリアによってはLTEカバー率が60%程度にとどまっていたが、今回の調査では5キャリアともカバー率が100%だった。政令指定都市の代表地点に絞ったためとも考えられるが、各キャリアのエリア拡大の取り組みが進んでいる成果が現れていると言えるだろう。