既報の通り、フィンランドのFutureMarkは2月4日に、「3DMark」を発表した。正確に言えば、2月4日の18:00 UTC(協定世界時)に公開という話が2月3日頃に同社のWebページで発表された。日本時間だと2月5日の03:00に相当するが、実際には30分ほど早い02:30頃にダウンロードページが公開されている。
さて、今回は"3DMark"の後ろに"11"だの"Vantage"だのが付かない、ただの3DMarkとなっており、ちょっとだけ判りにくくなった気がする。これは新しい3DMarkが、従来と異なりWindowsベース向けのみならずWindows RTやAndroid、iOSまでターゲットにするためで、この結果として敢えて"3DMark"のみとしたようだ(プレス資料にはわざわざ「"3DMark 12, 3DMark 2013, 3DMark for Windows, 3DMark Next"などは全部正しくない呼称だ」という注意書きまである)。
Introduction
さてその3DMarkであるが、Windows向けとそれ以外では実行できるベンチマークテストの種類が異なる。テストそのものは3種類あり、
- Ice Storm:DirectX 9ないしOpenGL ES 2.0で動作する、相対的に軽いテスト
- Cloud Gate:DirectX 10を想定した、ホームPCやノートブックなどをターゲットとしたテスト
- Fire Strike:DirectX 11を想定した、ハイエンドゲームマシン向けのテスト
となっている。これらのテストと対応OSの関係をまとめたのが表1である。要するに全てのプラットフォームで動作するのはIce Stormのみで、Cloud Gate/Fire Strikeに関してはWindowsないしWindows RTのみということになっている。
表1 |
ついでに対応するプラットフォーム要件についてもまとめておくと、Windwosに関しては32bit/64bit両対応であり、表2の様な構成が示されている。ちなみにGraphicsについては、Ice Stormのみを実施するならばDirectX 9準拠のGPUで構わないが、Cloud Gate/Fire Strikeの実施にはそれぞれDirectX 10/11準拠のGPUが必要である。
表2 |
Windows RTに関しては、「基本的には全てのWindows RTデバイスで3DMarkは動作する筈だが、幾つかのデバイスでは全テストが通らない事がある」としており、後ほど推奨構成を公開するとしている。現状、MicrosoftのSurface位しか広く流通しているデバイスが無く、各社が発表だけしつつも製品出荷が遅れている現状では、確認に手間取るのも致し方ないところだろう。Androidの最小構成は表3の様に、iOS機器の最小構成は表4の様に示されている。
表3 |
表4 |
また3DMarkの実施に関しては、Graphics Driverに関しても"Approved Driver"の利用が必要とされる。具体的な詳細はこちらにあるが、現状について言えばAMDならCatalyst 13.1以降(古いビデオカードに関してはCatalyst 13.1 LegacyもしくはCatalyst 9.3)、NVIDIAはGeForce 310.90以降、またIntelならVersion 8.15.10.2712(Intel HD Graphics)ないしVersion 7.15.10.1554(Intel GMA X3100以前)を使わないといけないとされている。またLuvidのVirtuは利用禁止であり、IntelのZ68とかZ77マザーにVirtuを併用しているユーザーにはちょっと悩ましいところだ。ちなみに筆者の場合、当初Catalystをインストールせずに、Windows 8のInbox Driverのままテストを行ったところ、Fire Strikeのスコアが5712と表示されるもの、Apploved Driverでないので値がValidではないと警告された。そこでCatalyst 13.2 Betaを入れてみるとスコアが6645まで上がっている。
ということで現時点ではWindows版のみしかリリースされていないので、以下Windows版を念頭に話を進めたい。この3DMark、3種類のEditionが存在するという話は3DMark 11とやそれ以前の製品と全く同じである。それぞれBasic/Advanced/Professionalとなっているが、それぞれのEditionの違いをまとめたのが表5である。
表5 |
以前3DMark Vantageの場合、無償版ではベンチマークを取れるのが1回だけという制限があったが、これは3DMark 11で撤廃されており、これを今回の3DMarkも引き継いでいる。なので無償版で何度でもベンチマークの実施が可能である。ただ無償版の場合、各テストのプリセットが変更できないうえ、Fire Strikeについては必ずベンチマークと一緒にデモも動く(ベンチマークだけの実行が出来ず、まずデモを行ってからベンチマークが始まる)という3DMark 11方式をそのまま継承しており、これが面倒という人はAdvanced Editionを購入すると、デモを行わずにベンチマークだけを実施したり、実行結果をいちいちオンラインで参照せずにローカルで処理できたりする(このあたりは後述)。またFire Strikeに関してはBasic EditionではExtreme Profileを選択できないが、Advanced Edition以上ではこれが利用できるようになる。
ちなみにこのAdvanced Editionの定価は$24.95となっているが、
- 3DMark11 Advanced Editionを所有しているユーザーは、FutureMarkから購入時にこのキーコードを入力することで25%割引
- Steamから3DMarkを購入する場合、25%割引(2/12までのスペシャルプロモーション)
- MSIのいくつかの製品を購入すると、Advanced Editionが無償で入手可能
- Galaxyの製品で、箱に3DMarkのクーポンコードが記載されているものを購入すると、Advanced Editionが無償で入手可能
といった割引セールも行われている。
その上はProfessionalであるが、これはメーカーなどで猛烈な組み合わせ数の設定を試したり、あるいは連続して3DMarkを実施させてシステムの安定度を確認したり、あるいは商品プロモーションに利用したりといったビジネス向けのライセンスであり、価格の方もそれに見合ったものなので、あまり一般のユーザーには縁はないと思う。
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