続いては、CS大会で目についた新機軸の走法を取り上げてみたい。今年の目立ったところでは、階段を後ろ向きで下りるというものがあった(画像18)。階段は上る時は2段で、1段の高さは14mm。下りる時は2段分を一気に下りる形で、28mmの段差となっている。この高さを下りた時の衝撃は走行体にとっては大きなもので、ここでバランスを崩してしまうことも決して珍しくない。

そこで、その対応策として考え出されたと思われるのが、「尻尾」がある後ろ向きで下りるという方法だ。走行体は、インコースの最初の難所であるLUGをくぐる際に使えるように可動式の尻尾が備えられている。これを下ろして、走行体は斜め後方にのけぞる形で全高を低くし(リンボーダンス状態)、LUGをくぐり抜けていくのだ(今や尻尾走行用のイメージの方が強くなっているが、本来はLUG用)。

つまるところ、尻尾を下ろした状態で走行すれば、不安定な倒立2輪振子の状態から3点確保してバランス的により安定した状態となる。そこで、尻尾をあらかじめ下ろした状態で下りれば、飛び降りた衝撃で前へ倒れそうになった場合はそれを防げるというわけだ。

ただし、あらかじめ尻尾を下ろしていない状態で後ろ向きに下りるチームもあり(画像19)、後ろ向きの階段下りは尻尾を下ろせるから、というのだけが理由というわけではないようだ(その理由は来年の確認として宿題とさせていただきたい)。

それから、今年の東京地区大会で1チームだけ見かけた「後ろ向きで階段を上がる」手法も見られた(画像20)。東京地区大会では写真を抑えられなかったが、今回は撮影に成功したので、併せて掲載しておきたい。これは、あらかじめ尻尾を先に上の段に載せて(引っかけて)起き、走行体を安定させる、という感じのようだが、これまた来年見かけたら、どのような狙いなのかを確認しておきたい。

画像18。尻尾を下ろした状態で後ろ向きに階段を下りる「こっぺぱん♯」(神奈川工科大学 吉野研究室/南関東:神奈川)

画像19。こちらは尻尾を上げた状態で後ろ向きに階段を下りるmonolith

画像20。階段をバックで上る「SOROT☆FCSK」(福岡CSK/九州:福岡)