ソニーは10日、2010年夏モデルとして新「VAIO P」を22日に発売すると発表。その発表会を開催した。

新「VAIO P」

各種アクセサリ類も展示されていた

会場では、まずVAIO P登場の背景が説明され、日本では、公衆無線LANの増加やデータ通信カードのカバー率の拡大で、通信環境が世界でもトップクラスであることを紹介。スマートフォンによる屋外でのインターネット利用の急増が挙げられた。またサービス面では、SNSやブログの本格普及でコミュニケーションスタイルが大きく変化し、自由に自分を表現するユーザーが急増している点を指摘。

現状では、これらのユーザー向けにスマートフォンやモバイルPCが提供されているものの、スマートフォンユーザーの85.7%がモバイルPCとの使い分けを検討している(MMD研究所調べ)。外出時にはコンパクトで持ち運びに便利なスマートフォンがいいが、実際に文字などの入力や表示能力を考えるとキーボードを搭載したPCの方が使い勝手がいいというわけだ。そこでソニーでは、自由なスタイルで利用できるVAIO Pを提供するとした。

新たなVAIO Pの特徴は、「自由なスタイルを可能にするユーザービリティ」「いつでもどこでも使える充実した機能」「いつも一緒にいたくなるデザイン」の3点。

ディスプレイの左右にタッチパッドを搭載することで立ったままで操作できる

自由なスタイルを可能にするユーザビリティとしては、立ったままでも利用できる「モバイルグリップ・スタイル」を新提供。液晶ディスプレイの両サイドにタッチパッドとクリックボタンを配置しており、スクロール、タップの操作が行える。さらに加速度センサによるジェスチャー操作や、縦画面表示への自動切換えも提供している。

いつでもどこでも使える充実した機能としては、無線LANとWiMAXを標準搭載した。またVAIO OWNER MADEモデルでは、無線WANが搭載可能。しかもNTTドコモ「FOMA HIGH-SPEED」か日本通信「b-mobile Doccica」のどちらかを選択できる。バッテリ駆動時間は、照度センサによる省電力化やバッテリ回路の見直しで、初代VAIO Pシリーズの約1.5倍を実現。Lバッテリ搭載時に最大約11.5時間のバッテリ駆動が可能となった。また、全機種にSSDを採用することで高速化を果たすと同時に、振動や衝撃に強い信頼性、軽量化を実現している。

いつも一緒にいたくなるデザインとしては、ピンク、オレンジ、ホワイトに加え、VAIO OWNER MADEモデル限定カラーとしてグリーン、ブラックと、従来PCにはない色を含めた6色を提供。限定デザインとして「ブラッククロコダイル」も用意している。さらにアクセサリーも本体と同色のものを用意。デザイン自体は、ボディ全体を包み込むようなデザインとなっている。

新「VAIO P」をPRする石田純一さんと佐田真由美さん

また発表にあわせ、「"COMING-OUT"PROJECT」をスタートし、第1弾としてTwitterなどで送られたコメントを使って即興曲を作成。さらに第2弾、第3弾なども提供される予定。

発表会では、タレントの石田純一と女優の佐田真由美さんが登場。石田さんは自宅でもVAIOを使っていて、最先端のものを使いこなして、自分の仕事に役に立てていきたいとコメント。佐田さんは、PCは必要不可欠なものとなり、持って歩くことが多くなっており、その点でVAIO Pのファッショナブルなデザインがうれしいと語った。

「NEW VAIO P Series Meeting」

またソニーは、twitterなどで募集した約40名の一般ユーザーが新VAIO Pを体験できるイベント「NEW VAIO P Series Meeting」を開催。VAIO事業本部 企画戦略部門 プロジェクトマネージャーの伊藤好文氏、VAIOデザインチーム プロデューサー/シニアデザイナーの田中聡一氏、VAIO事業本部 設計1部の鈴木一也氏が新VAIO Pを紹介した。

ディスプレイの直前に座っている3名が新VAIO P開発者。右から伊藤好文氏、田中聡一氏、鈴木一也氏

VAIOは、1997年の「PCG-505」登場以来、その時代ごとに小型PCのあり方を提案してきた。屋外に持ち出すPCの要件として、サイズでは「携帯しやすい小ささ」と「操作しやすい大きさ」、機能・性能では「携帯しやすい小ささ」と「パフォーマンスのバランス」が重要となるとコメント。携帯電話/スマートフォンとモバイルPCを比べると、Web閲覧やSMSなどのメールでは携帯電話/スマートフォンでも十分だが、ストレスのない文字入力や情報表示能力の高さではモバイルPCが向いている。そこで、文字入力に優れながらコンパクトなポケットスタイルPCとしてVAIO Pを提案したという。

モバイルPCは、サイズと機能のバランスが重要。スマートフォンユーザーの約9割がモバイルPCとの使い分けを検討しているとのこと

携帯性と使いやすさの両立、直感的な操作などを可能にしている

会場で紹介していたモックアップ。開発初期に作られたものだが、製品版とほぼ同じ形をしている

新VAIO Pが目指すものは、片手に収まるジャストキーボードサイズ、小さなカバンにもさっと入る軽量&コンパクト、どこでもつながる豊富なワイヤレス通信、外出先でさっと起動してすぐに使えるソリューションなど。ジャストキーボードサイズはキープしたまま、初代VAIO Pからデザイン、機能、性能を強化。小さなボディにさまざまなセンサを内蔵し、直感的な操作や位置情報の活用など、移動先で活用したくなる新スタイルを提案したとした。

特に加速度センサについては、初代VAIO Pの場合HDD搭載モデルが存在したため落下時にHDDを保護する目的に利用していたが、新VAIO Pでは全モデルがSSD搭載となったことで、本体を傾けてページ送り/戻し、半回転させることで縦横の表示切替に利用している。

デザインは「つつむ」「たたむ」がコンセプト。VAIO Pでは、入力のしやすさと持ち運びのしやすさの両立のため、サイズは従来を継承。同じサイズにしながら一新されたデザインにすることに苦慮したとのこと。

さらに会場のスクリーンでは"COMING-OUT"PROJECTのデモンストレーションを実施。柔道などのテーマに沿って一般ユーザーから寄せられたコメントを使って、即興で曲を作成していた。