顧客との最初の接点がデジタル化

杉山知之
1954年東京都生まれ。1979年に日本大学大学院理工学研究科修了後、日本大学理工学部助手に就任。1987年より、MIT メディア・ラボ客員研究員を務めたのち、国際メディア研究財団・主任研究員、日本大学短期大学部専任講師を経て、1994年10月、デジタルハリウッド設立。現在は、デジタルハリウッド学校長とデジタルハリウッド大学大学院学長を兼任する

近年、日本で制作された映画やゲームソフトのスタッフロールに、必ずといっていいほど、ある学校の卒業生の名前が表記されている。その学校とは、デジタルコンテンツの人材育成スクール、デジタルハリウッドだ。同校が、「クール・ジャパン」と呼ばれ世界の衆目を集めている日本のコンテンツ制作の分野に与えた影響は計り知れない。そのデジタルハリウッドの学校長であり、創立者でもある杉山知之氏に、日本のコンテンツ業界の将来について話を訊いた。

――デジタルハリウッドの創始者であり、これまで常に日本の最先端のデジタル文化を見ていた杉山さんですが(※デジタルハリウッド歴史記事参照)、現在のデジタル文化の流れについてどう感じていますか?

杉山知之(以下、杉山)「最近になって、数多くの新しいコミュニケーションツールが生まれてきています。どのツールにも長所があるのですが、企業側がいざそれらのツールをビジネスで利用しようと思うと、手探り状態になってしまっています。身近な例でいうと、日々ユーザーが増え続けているTwitterですね。デジタルハリウッドでもTwitterを使った情報発信を行っているのですが、まだそのツールを使うこと自体が面白いからやっているという段階で、それが今後どうビジネスに繋がっていくのかは分かりません」

――Twitter以外にも、音楽をやっている人たちの間ではMySpaceを使って、自分の作品をプロモーションしている方もいますよね。

杉山「音楽に限らず、どんな業種の仕事においても、お客様と最初に繋がるファースト・コンタクト・ラインがデジタルに移行してきているんです。ただ、大々的な成功例は未だ出ていません」

――そういった数多くのコミュニケーションツールが出てきている状況で、クリエイターたちはどのようにそれらのツールを使っていけば良いのでしょうか。

杉山「何か新しいツールが出てきたら、それをちゃんとひとつずつ吸収していく能力が必要になってくると考えています。デジタルハリウッドでは、そのための新しいコースをコンセプトを含めて開発中なんです」