ガートナーは9月2日、東京都内で「ガートナー・ドキュメント・ソリューション・セミナー」を開催した。同セミナーでは、プリンティング市場におけるビジネスチャンスとして、「クラウド・プリンティング・サービス」、「マネージド・プリント・サービス」、「スマートMFP」を挙げている。ここでは、ガートナー リサーチ ディレクターを務めるピート・バジリア氏が行った「クラウド・プリンティング・サービス」に関する講演の要点を紹介する。

ガートナー リサーチ ディレクター ピート・バジリア氏

同氏は冒頭に、「不景気の時にテクノロジーのブレイクスルーが起きると言われているが、プリンティング分野もその例に漏れない。1960年以降、景気後退期には必ずプリンティング技術のブレイクスルーが起こっている。つまり、景気が低迷している現在、技術の進化が起こる可能性が高い」と力強く話した。

クラウド・プリンティング・サービスとは、クラウド・コンピューティング方式によって提供されるサービス「クラウド・サービス」の一部であり、「顧客がインターネットを介して任意の時に任意の場所から印刷を行い、任意の場所で印刷物を受け取れるサービス」のことをいう。

同氏によると、現在、出力機器関連のマージンが下がっており、プリント・テクノロジー・プロバイダーはハードウェアでもソフトウェアでも収支が見込めない状況にあるため、クラウド・サービス・プロバイダーへと進化する必要があるそうだ。

クラウド・プリンティング・サービスのビジネスの可能性

ガートナーは今年3月、クラウド・サービスに関する市場調査の結果を発表している。同調査によると、2009年の全世界におけるクラウド・サービスの売上は2008年の464億ドルから563億ドルを超え、2013年には1,501億ドル規模に成長すると見込まれるという。

同社ではクラウド・サービスを「ビジネス・プロセス・サービス」、「アプリケーション」、「システム・インフラストラクチャ」、「アプリケーション・インフラストラクチャ」の4つのセグメントに分けている。ビジネス・プロセス・サービスとは、給与計算・印刷・電子商取引などのプロセスをWeb経由で提供するもの。

これらのうち、最も売上が多いのはビジネス・プロセス・サービスである。2008年のビジネス・プロセス・サービスの売上は全体の80%を超える389億ドルであり、2009年には前年比19.8%増の466億ドルに達する見込みだという。

さらに、ビジネス・プロセス・サービスは、「クラウド・ベース広告」、「人的リソース」、「電子商取引」、「その他」、「給与処理」に分類できる。印刷サービスは「その他」に含まれる。今のところ、クラウド・ベース広告がビジネス・プロセス・サービスの売上の60%を占めているが、2013年までに「その他」のビジネス・プロセス・サービスは98億ドルにまで成長するとして、同氏はクラウド・プリンティング・サービスが市場として成長の見込みがあることをアピールした。

また同氏は、「業務上、印刷機器が常に使える必要があるかどうか考えてもらいたい。必要な時だけ印刷できればいいのであれば、サービスで十分ではないか。印刷機器を所有すると資産になるが、サービスはユーザーがプロバイダーに印刷の作成を依頼した時点で発生し、企業としての負担が異なる」と、印刷サービスの有用性を説いた。