個人PCでの閲覧も取り締まり対象に

現在、中国で法律により規制されている「ネットワークわいせつ」は主にネットコンテンツであるが、これには映画、ショーなどの映像ファイルや、音声ファイル、電子マガジン、写真、文章、ショートメール、音声情報などが含まれる。

内容的にこれを簡単に見ておくと、ネットワークわいせつに関する中国の法律基準も他の多くの国と一致し、有害コンテンツと違法コンテンツの二段階に分けて考える。ただ適用においてはそれほどはっきりしておらず、有害コンテンツと違法コンテンツを一律に禁止している。少なくとも、新たな法律を制定するまでは現状のまま推移するだろう。

従来中国では、違法コンテンツの送り手を重点的に取り締まってきた。なぜならわいせつ刊行物の出版と印刷は中国国内でコントロールすることができるが、外国のわいせつ刊行物が入ってくるのを抑えるのは難しいからだ。それ故、中国のこれまでのわいせつ取締活動は電子技術で作られたわいせつディスクを含む違法出版物に限定されてきたのだった。

現在、中国では、インターネットでのわいせつ情報を規制するため、ネットカフェ、公共施設(学校、図書館)でのネット接続PC、事務所や家庭におけるネット接続PCを含む、インターネットに接続し得るクライアントパソコンを規制しようという傾向にある。

注意すべきは、上記の三つ目までは公共のPCだが、四つ目は個人のPCであることだ。公共のPCを規制し、ネット利用者のわいせつサイトアクセスを阻止することは多くの人に受け入れられた。だが、個人PCの規制においては、インターネットホームユーザーにフィルタリングソフトを組み込ませるという"穏健"なやり方があった一方、成人と未成年を区分せず、一律にわいせつコンテンツにアクセスできない状態にしたこともあった。

政府当局の行動に対し、分かれる国民の反応

中国では「わいせつサイトへのアクセスや閲覧が違法と見なされる」わけだが、自宅からわいせつサイトへアクセスして警察に干渉されたという事件も広く世間の注目を集めた。

当局の行動に対する国民の反応は、中国社会のネットわいせつ情報追放運動全体に対する態度を反映している。支持者は、「政府が市民を管理監督する正常な責任を果たしている」とし、「ネットワークスペースからわいせつを浄化する」ことが目的である以上、当局の行動は是認されるべきとする。

一方、反対者は、分別能力のある成人がわいせつサイトを閲覧することは個人的な行為であり、他人に迷惑をかけることではないと主張する。さらに、「自宅でわいせつディスクを見てもいいのに、なぜわいせつサイトを閲覧することができないのか」と問い掛け、わいせつサイトの閲覧が社会に混乱をもたらすことはないのだから、公民のプライバシーを尊重し、違法犯罪行為と区別すべきだと主張している。

仮に公安部が一部の法律条項によるネットワークわいせつ規制が可能と解釈し、これを厳格に施行するならば、罰せられる対象は爆発的に拡大するだろう。なぜなら、この条項は、わいせつサイトへのアクセスが自覚的か偶発的かを区別せず、また、中国に従来あった成人と未成年という利用者上の区別も無視しているからである。