では、Aspire oneの使用感を検証してみよう。まずは、液晶ディスプレイからだ。液晶ディスプレイのサイズは、8.9型WSVGA(1,024×600)。ネットブックやミニノートの中ではサイズも解像度も標準的だが、Aspire oneでは見やすさが違う。文字はかなり精細に表示され、にじみや読みづらさはまったく感じられない。また、周辺の光の乱反射を防止するAcer Crystal Bright液晶が採用されているため、光沢液晶特有の映り込みもあまり気にならなかった。とは言っても、多少の映りこみは避けられないが、低価格マシンとは思えないほどの、画面の美しさである。

Aspire oneの液晶ディスプレイ。上下の視野角が多少狭いものの、美しさはネットブックのなかではピカイチ

掲載用にリサイズした画像からでも分かるように、文字の表示も非常に高精細だ

次に、入力デバイスを見てみよう。Aspire oneでは、88キーの日本語キーボードが採用されている。一般のノートPCに比べてキーボード全体のサイズが約89%とコンパクトな設計にも関わらず、キーピッチは約17mmとネットブックとしては比較的大きく、入力しやすい。キーストロークにも適度な深さがあり、メカキーほどではないが「カチッ」とした手ごたえがある。ノートPC特有の軽いキータッチが好きな人には向かないが、デスクトップPCのようにカチカチ入力したい人にはうってつけだろう。もちろん、筆者は後者の部類だ。

Aspire oneのキーボード。キーピッチは17mmと大きく、使い勝手はかなりイイ

[Pg Up]キーと[Pg Dn]キーの位置が、筆者にとって致命的。キーを取り外そうかと本気で考えた

キーのサイズが大きいためか、長文を入力してもあまり疲れを感じることはなかった。実際、この原稿はAspire oneを使って入力している。唯一の不満は、[Pg Up](Page Up)キーと[Pg Dn](Page Down)キーの位置。

通常のノートPCでは[Fn]キーを押すことでこれらのキーが使えるが、Aspire oneでは[Fn]キーは不要だ。素早くページのスクロールが可能なのだが、カーソルキーのすぐ隣にあるため、間違って押してしまうことが多い。ただ押し間違えるだけならいいのだが、たとえばワードなどを使って文書を作成しているときに押してしまうと、フォーカスがスクロールバーに移動してしまい、編集領域に戻るのが面倒なのだ。キー操作に慣れれば問題ないとは思うが、今回の試用ではわずらわしさを感じてしまった。

好みの分かれるボタンのレイアウト。パームレスト部の発熱は、特に気にならないレベル

タッチパッドのサイズは約50mm(横)×30mm(縦)程度。ボタンがパッドを挟んで左右に分かれるタイプで、好みはハッキリ分かれるだろう。筆者はタッチパッドを親指で操作するクセがあるので、右ボタンが押しにくいこのタイプは苦手だ。人差し指や中指で操作する人なら、きっと問題はないのだろう。また上下に狭い気がするが、とくに使いにくいわけでもないので、このあたりは問題はない。長時間使用しているとタッチパッド両脇のパームレストが温かくなってくるが、熱いというほどではなく、ちょっとヌルいかな~というレベルだ。

液晶ディスプレイの美しさとキーボードの入力しやすさでは、同類のマシンの中ではトップクラスに入ると感じた。長時間の使用にも耐えうる使い心地は、やはり他にはない魅力である。