中国・北京にて16日、翌17日から開幕するIntel Developer Forum(IDF)に備えたプレス向けブリーフィングが行われた。本稿ではその中から、Intel Mobile Platform GroupのMooly Eden氏の講演「Going Mobile」についてお届けしたい。Santa Rosaこと次世代Centrinoについて、これまで未公開の情報を含む多くのアップデートがあったほか、さらに次世代の「Montevina」プラットフォームに関する言及がされるなど、非常に興味深い内容となっている。

「Santa Rosaは5月」と、IntelのCorporate Vice President & General Managerで、Mobile Platform Group担当のMooly Eden氏。手に持っているのはPenrynのウェハで、講演ではモバイル向けPenrynの話題も

Santa Rosaの立ち上げは5月

これまで2007年の第2四半期とのみ伝えられていた次世代Centorino(Santa Rosa)プラットフォームの立ち上げ時期だが、登壇したMooly Eden氏により、2007年5月の登場であることが明言された。いよいよ登場目前ということもあり、今回の講演ではSanta Rosaの具体的な情報が充実。新情報もあるが、せっかくの登場目前のタイミングなので、既存情報もおさらいしつつ、順を追ってSanta Rosaに関する内容を紹介する。

Santa Rosaで採用するCPUは4MBの共有L2キャシュを持つCore 2 Duo。これはNapa(Core 2 Duo採用世代はNapa Refreshと呼ばれる)プラットフォームと同様だが、フロントサイドバス(FSB)のスピードが現行のCore 2 Duo Tシリーズの667MHzから、800MHzまで引き上げられている。また、少々先の話だそうだが、"Taking Mobile Gaming to The Extreme"というキャッチつきで、これまでDual Coreまでだったモバイル向けに、待望のQuad Coreのプロセッサを採用する計画が公開されている。

ついに? ようやく? Santa Rosaがまもなく登場する

FSBを800MHzまで引き上げた新型のモバイル向けCore 2 Duoをサポート

組み合わせるチップセットはIntel GM965 / PM965 / GL965で、名称が示すとおりデスクトップ向けの965シリーズと同世代のチップセットだ。なかでもGM965はGMA X3000のモバイル向け拡張型というGMA X3100を統合し、高性能なグラフィックス機能を持つとされる。なお、モバイル945シリーズでは薄型モバイルなどに適した小型パッケージの"GMS"がラインナップされていたが、現時点では965世代にはこれが存在していない模様。特に日本国内で人気の高い超薄型B5ノートなどがどうなっていくのか気になるところではある。

チップセットは965世代のIntel GM965 / PM965 / GL965。うちGM965ではパワフルなグラフィックス処理機能のほか、「Clear Video」と呼ばれる映像の高画質化の技術が搭載される

右がClear Videoの効果のひとつなのだが、映像がより鮮やかになっているのがわかる

Clear Videoでサポートされるデインタレースなどの効果。NVIDIAのPureVideoやAMD(ATI)のAvivoに近い機能だと考えていただけるとわかりやすいだろう

Centrinoのひとつの象徴でもあるWareless LANには、現在ドラフト(しかし標準化の見込みが主張される)の802.11nに対応する4965AGN、および802.11a/gに対応する4965AGの2種類のWirelessモジュールが用意される。Intelではこの4965AGN(の802.11n)で、従来の5倍の通信速度と2倍の通信範囲を謳っており、例えばWirelessでハイデフクオリティのストリームビデオの視聴などもカバーできるようになるとしている。有線LAN用に用意されるNICはGigabitEthenetに対応するIntel 82566MM(vProサポート)と82566MC(Viivサポート)の2種類。ちなみに、vProに対応するSanta RosaにはCentrino Proという新ブランドが適用されることもすでに明らかになっている。

Wareless LANにはドラフト11nに対応する4965AGNなどを用意

Cebit 2007でIntel Turbo Memoryという正式名称が明らかにされたRobson(コードネーム)も注目の機能。もうおなじみだが、NANDフラッシュメモリを搭載する専用モジュールを利用し、ディスクキャッシュすることでシステムの高速化と省電力化を図るという技術だ。効果のほどだが、アプリケーションのLoad/Runで最大2倍、ハイバネートからリジュームで最大1.5倍の高速化が見込め、0.4Wの消費電力削減が可能とされる。

おなじみのRobson改めTurbo Memory。画像のようなモジュールのほか基盤に実装される形での提供もあるそうだ

オーバークロック技術であるEnhanced Dynamic Acceleration Technologyも、Santa Rosaで新たにサポートされる新機能だ。現在のDual Coreの普及は、Single CoreよりDual Coreの方が快適に利用できる場面が多いという現実からきているわけだが、アプリケーションの種類や使用状況によっては、より高クロックなSingle Coreを利用したほうが快適な、スレッドの数より高クロック(高速なシングルスレッド)が欲しいような場面がまだまだ存在することも現実だろう。

そうしたギャップを埋める技術がEnhanced Dynamic Accelerationである。具体的にどんな技術なのかというと、Dual CoreのCPUで、ある処理中に片方のCoreが遊んでいるなどし、1つのCoreのみで処理を実行、もう1つのCoreがC3ステートになっているような状態になると、Activeな方のCoreの周波数を定格以上にオーバークロックするというもの。モバイルでオーバクロックと聞くと熱設計が心配になるが、片方をステート状態にすることで、合計のTDPはそもそもの枠内に収まるよう調整されているのだそうだ。

ちょっと変わったオーバークロック機能のEnhanced Dynamic Acceleration。これが普段の状態で…

片方はステート状態だが、もう片方はオーバークロック状態に。TDPを枠内に収めつつシングルスレッド性能を向上する

2008年にPenryn採用の「Santa Rosa Refresh」、そして新プラットフォーム「Montevine」が登場

ここまではSanta Rosaについて紹介してきたが、講演ではさらにその先、45nm世代のPenryn(コードネーム)プロセッサを採用し、2008年前半に登場予定の「Santa Rosa Refresh」と、その後に続き同じく2008年前半に登場予定の新プラットフォーム「Montevine」が紹介されている。それでは次項からは、このモバイル向けPenrynならびに、これら次々世代のプラットフォームについてお届けしよう。