BIツールには複数の機能があります。その中の1つがOLAP分析機能です。しかし、このOLAP分析機能は名前だけ聞いても、なかなかぴんとこないのではないでしょうか。今回は、このOLAP分析を中心にBIツールの機能解説をします。

OLAPでリアルタイムにデータ分析が行える

OLAPとはOn Line Analytical Processingの略称です。日本語ではオンライン分析処理と訳されます。データベースに集積された大量データから、多次元的な集計・分析を行い、素早く結果を返すという仕組みやソフトウェアを指します。「オンライン」はネットワークにつながっているという意味ではなくリアルタイム、つまりユーザーの要求に対して素早く結果を返すことを意味します。

なお、「オンライン処理」の対義語は「バッチ処理」です。バッチ処理ではユーザーの要求にリアルタイムに結果を返すのではありません。例えば、午前3時といった決まった時間に処理をスタートし、結果をまとめて出力する方式です。即座にレスポンスを返す必要はないものの、膨大で処理に時間のかかるデータを、夜間や早朝の負荷が少ない時間帯に一括処理をする場合に使用されます。

まず、BIツールに搭載されたOLAP分析ツールは、収集したデータを元に独自の多次元的なデータベースを生成します。多次元的なデータベースというのは、地域や製品、価格帯といった複数の軸を持つデータベースのことです。このデータベースを基準にユーザーが要求した分析処理を行います。例えば、データを詳細に掘り下げるドリルダウン、集計軸を切り取って2次元の表を作成するスライシングです。さらに、スライシングで作成した2次元の票の軸を入れ替えて、集計軸の異なるさまざまな表を作成するダイシングという操作もあります。インメモリ型のBIツールであれば、これらの処理をメモリ上で素早く処理することが可能です。

OLTPとは何? OLAPとの違いは?

OLTPはOn Line Transaction Processingの略称でオンライントランザクション処理と訳されます。OLTPもOLAPと同じくデータ処理を行う仕組みやソフトウェアを指すという点では同じです。しかし、OLTPではトランザクションという単位で処理を行います。トランザクションとはもともと「商取引」を表す言葉で、IT技術用語では「一体不可分な処理単位」を表します。

例えば、銀行のATMでお金を引き出す操作を考えてみましょう。ユーザーが引き出す金額を入力すると、システム内部では「ユーザーの口座情報更新」や「ATM内で持っている現金情報更新」といった複数の機能が同時に動きます。さらに、実際に現金を取り出し口に移動したり、取引ログを記録したりすることも必要でしょう。ユーザーの口座情報だけが変更されて実際に現金が出てこないということはあり得ないので、これらの一体不可分な一連の処理をトランザクションと呼ぶことができます。

OLTPは大量に発生する小さいサイズのデータの処理に秀でたデータ処理の仕組みです。一方で、OLAPはこうした高頻度の読み書きアクセスに対しては不向きであるものの、多次元データベースを使用することにより、大量のデータ分析に特化しています。

多次元分析の方法はいろいろ

多次元分析の方法にはいくつか種類があります。まず、多次元データベースにリレーショナルデータベースを利用したROLAPです。あらかじめデータ分析を行うためのデータモデル(キューブ)だけを定義しておきます。そして、在庫データや注文データが登録されているリレーショナルデータベースから、データ分析を行うたびに必要なデータを取り出します。分析の視点になるディメンションの変更を柔軟に行えますが、都度データを取り出すためパフォーマンスがMOLAPに比べ劣るのが弱点です。

次に、多次元データベースを使ったMOLAPです。これはリレーショナルデータベースに保存されたデータを、あらかじめキューブの定義に従って多次元データベースに投入しておく方式です。ROLAPに比べレスポンスが速くなりますが、リレーショナルデータベースに登録されている元データが変更するたびに新しく多次元データベースにデータを投入する必要があります。さらに、HOLAPというROLAPとMOLAP両方の特徴を備えた分析方法もあります。

OLAP分析のメリットは素早くデータ分析が行えること

OLAP分析のメリットは、データ分析に特化した多次元データベースを用いることで素早くリアルタイムでデータ分析が行えることです。また、専門の技術者でなくても利用できるよう、マウスで簡単に操作できるようになっていたり、分析結果をグラフや表でわかりやすく出力したりするBIツールもあります。

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