アヴネットが主催するオンラインイベント「Avnet Tech Days 2021」が5月19日・20日に開催された。同イベントには、アヴネットの主要サプライヤが参加し、各社またはアヴネットの担当者から、それぞれの“いま旬”な製品・サービス・ソリューションが紹介された。本稿では、各セッションの模様をダイジェストでお届けしたい。
2021年12月末まで配信中
Avnet Tech Days 2021
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1. システムの小型化と高効率化に貢献する、ゲート駆動が容易なカスコードGaN FET:Nexperia
2017年2月にNXPから独立した汎用半導体メーカー、Nexperia。本社をオランダに構え、ディスクリート、MOSFET、アナログ&ロジックIC、GaN FETを扱う。
一般的にGaNは、SiC、IGBT、SiSJといったほかのテクノロジーと比較して高速スイッチングが可能、ワイドバンドギャップのデバイスとして効率的などといったメリットがある。とくにNexperiaのGaNの強みの1つに、カスコード構成においてゲート駆動が容易であるという点があげられる。セッションではNexperia Japanの北野 淳氏が、具体的な製品ラインアップを紹介しながら、NexperiaのGaN FETについて詳細に解説した。
2. 超低消費電力AI画像認識カメラソリューション、Ultra96 Board 3Dセンシングステレオカメラ:オン・セミコンダクター
オン・セミコンダクター 和久井 玄吾氏は、同氏が所属するインテリジェントセンシンググループの製品について紹介した。
米国に本社を置く大手半導体メーカーであるオン・セミコンダクター。同社のインテリジェントセンシンググループは、オートモーティブから、産業機器、民生用まで、さまざまなアプリケーションに対応するセンシングデバイスを有している。とくにマシンビジョンの領域に強みがあり、今回のイベントでは、農作物の検品AIシステムやワイヤレスAI認識カメラといった、AIを活用したイメージセンサーのアプリケーションの取り組み事例について、具体的な製品を挙げながら和田氏が解説した。
3. USB Type-C、USB PDの仕様概要と導入方法の実例:Maxim
PCやスマートフォンなど、ここ数年でUSB Type-Cを実装した機器は急激に増加した。2023年には、民生電子機器の分野で10億個に達するとの見方もある。USB Type-C充電を実装する場合、実装サイズが大きくコストが高くなってしまうというハード面の課題と、ソフトウェア開発に時間を要するというソフト面の課題がある。そこで、マキシム・ジャパン 上本康介氏は、USB Type-C充電の概要から実装方法、USB PDの仕様や概要、充電システム構成例までをMaximの製品をもとに紹介した。
4. ウェアラブルアプリケーションを実現するヘルスケアICセンサー関連の製品、技術:アヴネット
ヘルスケアICセンサーが搭載されたスマートウォッチなどのウェアラブルアプリケーションが、昨今注目を集めている。ヘルスケアICセンサーに共通する課題としては、一般的なメディカル製品が備えている機能をウェアラブルアプリケーションに持たせるために、低消費電力、超小型パッケージ、低ノイズ性能、セキュリティ機能などを実現しなければならないことがあげられる。また、ウェアラブルアプリケーションでは、ヘルスケアICセンサーだけでなく構成部品すべてにおいて超小型化することが求められる。
アヴネットの村上 毅氏と澤田 康佑氏は、Maximのヘルスセンサープラットフォームを例に、ウェアラブルアプリケーションを実現する製品や技術について紹介した。
5. はじめての電源設計〜マイコンのエンジニアが設計してみた~:マイクロチップ・テクノロジー・ジャパン
IoTは昨今、スマートハウス、ヘルスケア、自動運転などさまざまな用途で普及しており、5Gの導入によりこの流れはさらに加速していくことが見込まれている。こうしたなか、デジタル領域を担当するエンジニアがIoT機器の試作向けに電源ICを選定しなければならないなど、アナログ設計をする機会も増えている。
こうした背景を受け、マイクロチップ・テクノロジー・ジャパンの新井 憲一氏は、MPLAB Mindi Analog Simulatorなど、同社の製品を活用してデジタル系のエンジニアがIoT機器の電源設計を行う際の方法を紹介した。
6. MEMSセンサー商品ラインアップ:TDK InvenSense
1935年に東京電気化学工業として設立され、現在では電子材料・電子部品、磁気ヘッド、バッテリーなど、さまざまな製品を取り扱っているTDK。社内カンパニー制を採用しており、センサシステムズビジネスカンパニーのMEMSセンサビジネスグループで、TDKの子会社であるInvenSenseの製品を扱う。InvenSenseは、世界初の3軸デジタルジャイロセンサーを発売するなど、センサー業界のパイオニアであり、2017年にTDKへ買収されたかたちとなる。製品としては、民生用、産業用、車載用、およびIoT市場を対象に、MEMSモーション、オーディオ、圧力ソリューションをラインアップしている。
7. パワー製品ラインアップ:Pulse Electronics
米国および台湾に本社を構えるパルスエレクトロニクスは、マグネティックスコンポーネントの専門メーカーとして、電力から、ネットワーク磁気、アンテナ、電流センシング、電源、コネクタまで、幅広い製品をラインアップしている。今回のイベントでは特にパワー事業部の製品の主なラインアップについて、パルスエレクトロニクス日本 アプリケーションマネージャーの板野 隆氏が紹介した。
同事業部では、ミリワット対応のものから、KW単位の電力を賄うアプリーションに対応した製品群まで、さまざまな電源系インダクタ製品を有している。パワーインダクタでは、パワービーズやモールド成形型、シールド&アンシールドドラム型など、パワートランスでは、開発要件に合わせて、フライバックやフォワード、ハーフブリッジ、LLCなど、複数のトポロジーでの製品を提供しているという。
8. 在庫販売および再生産ソリューション:ロチェスターエレクトロニクス
ロチェスターエレクトロニクスの朝倉 裕之氏は、同社のビジネスモデルとソリューションについて紹介した。
米国を本社に置くロチェスターエレクトロニクスは、製品販売代理店と製造メーカーという2つの顔をもつユニークな会社だ。強みは、生産中止となった半導体製品「EOL品」の供給。世界で70以上のメーカーから認定を受け、EOL品の販売、またはEOL品の製造を手掛けている。
販売代理店としては、150億個以上の在庫と20万種以上の製品群を抱えており、製造メーカーとしては、ダイ換算で120億個以上のウェハ在庫を持ち7万種類を超える製品展開が可能な体制を整えている。これにより、半導体製品の継続的な供給を可能にしているという。
9. 信頼できる電源パートナー:MEAN WELL
台湾の大手電源メーカーMEAN WELLのジェフ・ファン氏は、同社の会社概要および製品について紹介した。
1982年に台湾でリニア電源メーカーとして設立したMEAN WELL。現在では、標準電源装置のメーカーとして、AC/DCスイッチング電源、DC/DCコンバータ、DC/ACインバータ、バッテリー充電器など幅広い製品を扱い、あらゆるタイプのアプリケーションに対応する電源ソリューションを有している。2021年に発表された米国Micro Technology Consultants(MTC)によるレポートでは、グローバル電源メーカー(DC出力)の第4位に格付けされている。設立以降着実に成長を続けてきており、2022年10月には中国蘇州市に新たな生産拠点が完成する予定だという。
10. NXPセミコンダクターズ社のアドバンスド・アナログ製品:アヴネット
高性能なMCU、プロセッサとともに、アナログ技術を用いた製品を多数提供しているNXPセミコンダクターズ(NXP)。今回は、アヴネットの担当者が、NXPのアドバンスド・アナログ製品について紹介した。
NXPのアドバンスド・アナログ製品は、「電源管理とドライバ」、「ネットワーキングとインターフェイス」、「高精度アナログとセンシング」、「コネクティビティと高精度ローカリゼーション」の4カテゴリに分けられ、それぞれ下図のような強みを持つ。なかでもセミナーでは、スイッチ、リドライバ、電圧レベル変換、リアルタイムクロック、GPIOエキスパンダの各製品について、それぞれ詳細に説明されていた。
【2021年12月まで配信中】オンデマンド視聴はアヴネットのHPにて
世界をリードする企業が数多く登場した今回のイベントでは、短時間で効率的にパワー・アナログ・センシングの最新トレンドや製品情報に触れることができた。本イベントの模様を収めた動画は、アヴネットのHPにて2021年12月末まで視聴可能となっている。興味のあるセッションがあれば、ぜひご覧いただきたい。
[PR]提供:アヴネット