関連する産業分野が幅広く「総合産業」とも呼ばれる自動車産業。その波及効果は半導体業界にも及んでいる。EV、PHVの需要が高まっていることで、自動車の分野でも電子デバイスが大きな存在感を示すようになってきたからだ。1980年の創業以来、半導体製造装置の部品や素材の開発・販売を中心に、その他同社のコア製品の磁性流体・サーモモジュールの電子デバイスを含め事業を拡げてきたグローバル企業フェローテックでも、近年は自動車産業からのニーズに積極的に応えようとしている。

昨年は自動車関連の先進技術を扱う世界最大級の展示会「オートモーティブ ワールド」に出展し、自動車業界全体に向けた製品アピールを行った同社だが、今年は製品展示だけではなく技術セミナーも実施する予定だ。

自動車の電気化でますます需要の高まる
「パワー半導体基板」

今年「第11回 オートモーティブ ワールド」(2019年1月16~18日 東京ビッグサイト)で同社が打ち出す主な製品は、カーオーディオのスピーカーやアクチュエーター、センサーなどに利用できる「磁性流体」、車載のエアコンや温調シートに採用されている「サーモモジュール」、そして放熱用絶縁基板「パワー半導体用基板」の3つだ。本稿では今後の自動車製造の中で、特に活用の幅が拡がると期待されているパワー半導体用基板について紹介しよう。

  • 「オートモーティブ ワールド 2019」に出展されるフェローテックのコア製品。左からサーモモジュール、磁性流体、パワー半導体基板(DCB)

パワー半導体とは、絶縁・導電の特性を活かして電力の供給・制御に用いられる半導体だ。産業用機械やEVのモーターなど、大きな電力を扱う場所で使われることが多く、当然発生する熱量も大きくなる。そのため基板には高い放熱性に加え、回路以外の部分には高い絶縁性が求められる。この2つの条件を満たす素材として旧来の基板ではガラスエポキシやセラミックなどが使用されていたが、現在はより低コストで製造でき、放熱性・絶縁性・耐久性が高いアルミナや窒化アルミニウムを使ったものが主流だ。こうした基板は銅製(Copper)の回路と放熱板を、アルミナなどの絶縁体に直接結合(Direct Bonding)させた構造となっているため、DCB(Direct Copper Bonding)と呼ばれている。

90秒でわかるフェローテックのパワー半導体用基板

フェローテックでは1995年、インバータ回路の基板としてDCBの内製化を実現、同社のコア製品の一つであるサーモモジュールに組み込んで販売を行ってきた。同社のサーモモジュールは半導体ウェハー製造装置、エアコン、小型冷蔵庫、食品や医療向けの温調機器など多彩な用途に利用され、自動車業界ではシートやカップホルダーの温調部品として活用されてきた。2005年からはその製造技術を活かしてDCB単独での販売を開始、すでに大手自動車メーカーが開発する車のエンジンやモーター、パワーステアリング、ヘッドランプなどの制御装置の基板として採用されている。その用途は車載機能の電気化にあわせてますます拡大し、2023年にはパワーモジュール市場は55億ドルの市場規模にまで成長すると同社では予測している。

フェローテック電子デバイス製品の自動車市場におけるポテンシャル

DCBメーカーとしてのフェローテックの強みとは?

自動車の製造には今や欠かせない存在となり、世界的に高まっている電子デバイスのニーズに応えるため、同社では2018年4月に車載技術を専門に扱う「オートモーティブ・プロジェクト」を発足、DCB製造はそのプロジェクトの中でも重要な位置づけとなっている。7月には中国:・江蘇省の東台に新たなDCB生産拠点を立ち上げたことで、従来の上海工場とあわせて月産37万枚のマスターカード(1枚は190×138mm)を生産できる体制を整えた。これはDCBの世界シェアの約15%に相当し、DCBメーカーとしてはトップ3社に入る数字だ。生産力アップで供給がこれまで以上に安定しただけでなく、スケールメリットを活かした原材料コスト抑制などが功を奏して、他DCBメーカーからの乗り換え需要も伸びているという。

同社の強みは安定性やコストだけではない。多品種生産が求められる回路製作の面においても日本メーカーならではの品質と対応力、長年車載用サーモモジュールの提供を通して培ってきた企画提案力、開発スピードなども評価されている。

新技術の投入にも積極的で、現在、DCBに続く基板としてAMB(Active Metal Braze)方式の技術開発を進めている。これは銅と絶縁体の結合に活性金属であるチタンを使用した「ろう付け」を行う方式で、DCBよりも信頼性の高い基板を製造することが可能となり、窒化ケイ素基板を用いた場合、摂氏マイナス55度~150度の温度変化を1,000~2,000サイクル実施しても、銅パターンの剥離やセラミックス板のクラックが発生しない。また、熱伝導率が高い窒化アルミニウムAMB基板も製造可能でアプリケーション毎に分類され、素材の選択肢も拡がる。

人材確保にも注力、さらなる成長と進化をめざす

こうした生産能力と技術力により、同社は2018年のパワー半導体基板での売上を前年比プラス57%と見込んでおり、2020年には世界シェア第2位のポジション確保を目指している。この成長目標実現のため、同社では現在、人材確保にも注力している。2018年から本格的な海外展開を始めたDCB部門では、今後の海外対応を円滑にしていくため、コミュニケーション能力が高く、グローバルな職場を楽しめる人材の確保に意欲を示している。関心のある方は、以下の連載も参考に同社に問い合わせてみていただきたい。

海外投資家から注目を集める半導体関連大手のフェローテック社員
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フェローテックで、エンジニアが力を発揮できる理由
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EVやコネクティッドカーの浸透で、今やIoTのひとつとしても捉えられるようになってき自動車。半導体製造の分野では豊富な実績と認知度を誇るフェローテックが、その高い技術力をどう自動車に活かしているのかを、ぜひ「オートモーティブ ワールド 2019」にてご確認いただきたい。最先端の電子デバイスや活用アイディアを知ることで、自動車製造はもちろん、新たな製品・サービス開発にも役立つものとなるだろう。

第11回オートモーティブワールド(クルマの先端技術展)」

フェローテック ブースのご紹介

日時:2019年1月16日(水)-18日(金) 10:00-18:00 (18日のみ17:00まで)
場所:東京ビッグサイト(東 展示棟 ブースNo. E57-20)

磁性流体・熱電材料技術と次世代自動車課題への応用

磁気ヒステリシスのない新材料Hzero®を用いた高精度直流センサ
熱電素子を用いた各種車載向け熱対策アセンブリ製品を開発

日時 1月18日 (金) 12:20 ~ 13:20
会場 東-C セミナー会場

[PR]提供:フェローテックホールディングス