半導体の製造装置部品を中心に、電子デバイスや太陽電池関連の事業を展開するフェローテックグループが増収増益を続けている。18年3月期の決算発表は、売上高が昨年対比22.7%増の905億円、営業利益が48.6%増の84億円だ。同社は昨年「自動車プロジェクト」を立ち上げ、EV・PHV市場における電子デバイスのシェア獲得をねらうなど、新たな主幹事業の構築にも積極的だ。そんなフェローテックが重視するのは、"ESG(環境・社会性・企業統治)"の観点からみた人材の育成と尊重である。「社員一人ひとりの活躍が会社全体を動かしている」という考えの中で、エンジニア達はどのように日々の業務に取りくんでいるのか。若手から中堅まで、本当の声をきいた。

  • 対談の模様

積極的に未知を学ぶ文化

新卒入社3年目の浅井 笙平氏が担当するのは「磁性流体」だ。NASAの宇宙開発過程で発明されたこの液体は、磁石に反応する性質をもち、半導体製造に欠かせない真空シールや、カーオディオなどに使われる素材だ。

「私がフェローテックに入ったきっかけは、磁性流体の面白さにひかれたからです。大学で学んでいた無機化学を少しでも活かせる会社を探している中で知りました。現在は、研究開発されたモノの量産工程を確立させる仕事、お問い合わせ頂いたお客様へ営業と訪問し、技術的なサポートを行う仕事などを担当しています。磁性流体の応用製品を考え、つくるには化学だけでなく、物理や電磁気学など、たくさんのことを学ばなければならないと日々感じています」(浅井氏)

株式会社フェローテック  技術部 FF製品技術課 浅井 笙平氏

フェローテック
技術部 FF製品技術課
浅井 笙平氏

フェローテックには、たとえ専門外のことであっても、積極的な学びを推奨する文化がある。社内技術をOJTを通じて学ぶことはもちろん、文献を調べ、外部のセミナーを受講し、学会に参加し、ときに大学の先生に話を聞きに行く。こうしたことを、エンジニア達は当たり前のように実践している。

「部署の垣根を越えて相談することはもちろん、トップと意見を交換する機会も多いと思います。社長と若手の定期的な交流会などがおこなわれており、自分の将来像が少しずつ見えてきました」(浅井氏)

大手メーカーでは見つからなかった魅力

電流・電圧の制御をおこなうパワー半導体用のDCB基盤を担当するのは、中途入社7年目で、材料開発課 課長代理の植木 康郎氏だ。パワー半導体によって制御を効率化することで、自動車などの消費電力を最適化することができる。需要が急増している製品だ。植木氏は、もともと技術派遣として、大手自動車会社でコンピューターシミュレーションを担当していた。

株式会社フェローテックホールディングス 技術開発統括室 技術開発部 材料開発課  課長代理 植木 康郎氏

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ホールディングス
技術開発統括室
技術開発部
材料開発課 課長代理
植木 康郎氏

「前職では部門毎に業務は細分化されており、私は狭い領域のシミュレーションに携わっていました。しかし、やがて自分でも実機に携わりたい、作ってみたいと感じるようになったのです。その頃、ちょうどフェローテックが太陽電池の製造に力を入れていて、解析の募集をしていたので飛びこみました。1,000度以上の高熱で太陽電池用インゴットを製造する装置の解析は、前職とはまったく違うものですから、結晶学を始め、あらゆることを学ぶことからのスタートでした。シミュレーションの結果をもとに装置を改良したり、工場(現場)にも頻繁に足を運び、実機試験や測定をおこなっています。製品能力の向上や歩留まりの良い生産が出来るようにすることは、今までにないやりがいを感じています」(植木氏)

現在、植木氏は中国の生産現場を行き来して品質改善をおこなったり、アメリカをはじめとするグローバルな展示会に赴いて情報収集をしたりと、幅広く活躍している。

「7年前と比べて大きく変わったのは視点です。以前は担当している部分の工程だけしか見えていませんでした。それが製品全体になり、そして市場全体へと、俯瞰して見れるようになったと感じています」(植木氏)

グローバルなコミュニケーション力を獲得

フェローテックグループは欧米・アジアを含む世界10ヶ国に拠点を持つ。同社の自動車プロジェクトでは、各拠点がグローバルなニーズを集め、顧客の要望をもとに製品のカスタマイズや試作を進めている。新卒入社10年目の渡邉 健一氏が担当するのは、サーモモジュール(ペルチェ素子ともいう)による自動車向け応用製品の開発だ。

株式会社フェローテックホールディングス 技術開発統括室 技術開発部 応用製品技術課 渡邊 健一氏

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技術開発統括室
技術開発部
応用製品技術課
渡邊 健一氏

「サーモモジュールは、電流を流すと片方の面が熱くなり、もう片方の面が冷たくなるという変わった性質を持つ半導体デバイスです。エアコンやドライヤーなどの家電製品や医療機器など、さまざまな分野で使われています。いま電気自動車が盛り上がっていますが、バッテリーの発熱が課題のひとつです。サーモモジュールによってバッテリーの適切な温度管理ができるようになれば、走行距離が伸ばせますし、酷暑の国から極寒の国まで、どこでも走らせることができるようになります」(渡邉氏)

渡邉 氏は、フェローテックがグローバルに多様な製品を展開していることに興味を持ったという。入社1年目から中国に出向して、太陽電池用インゴットを製造する「単結晶引上炉」の装置開発や工場の立ちあげに携わった。

「単結晶炉はインゴットができるまで3、4日必要なので、交代で機械の状態をずっと管理しなければなりません。装置開発は設計から結果が出るまで1年はかかるので、大変な日々でした。でも、それが今の糧にもなっています。また、日本人だけで頑張ってもどうしようもなく、現地スタッフときちんとした関係を築くことが大事だともわかりました。通訳はなるべく使わず、たどたどしくても自分の中国語でしゃべったほうが、話を聞いてくれるんです。中国には4年いましたが、コミュニケーション力が大きく身についたと感じます」(渡邉氏)

部署の垣根を越えて力を発揮できる会社

技術管理部 副部長の倉本 篤史氏は、半導体の基板材料であるシリコンウェハーの生産プロジェクトを統括している。中途採用で入社して14年目になるが、10年以上は中国に駐在している。もともとは生産設備関係の会社に勤めていた。

株式会社フェローテックホールディングス 技術開発統括室 技術管理部 副部長 倉本 篤史氏

フェローテック
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技術開発統括室
技術管理部
副部長 倉本 篤史氏

「実は、フェローテックも取引先の一社だったんです。1994年当時の日系企業としてはかなり早い時期から中国に進出しており、フェローテックの工場に装置を納めながら、中国の盛りあがりを肌で感じていました。そんななか自分もチャレンジしたい、という思いが転職のきっかけのひとつです」(倉本氏)

最初は装置一台を設計する仕事だったが、やがて生産ラインを設計するようになり、いまでは工場全体・プロジェクト全体の設計と、倉本 氏の仕事は大きく広がっている。そんな倉本 氏は、他社と比べてフェローテックは「連携して力を発揮する」ことが巧みな会社だと言う。

「中国では渡邉君と一緒に単結晶引上炉の開発に取りくんだこともあるのですが、ちょっと困ったことがあっても『磁性流体の見知から見てくれない?』というように、部署の垣根を越えて相談しやすい空気がこの会社にはありますね。コミュニケーションの取りやすさは他の会社と違う点だと思います。今、上海で8インチウェハーを月産10万枚製造する工場が稼働したばかりで、新たに杭州で月産35万枚の工場を建設中なのですが、工場の立ちあげメンバーとともに地元の食堂に行って、広い中国のいろいろな地方の料理とお酒を一緒に味わうのも、楽しみになっています」(倉本氏)

  • エンジニアの皆さん

人と人とのコミュニケーションを活かしながら、幅広い分野で成長を続けるフェローテックグループは、新たなエンジニアを求めている。興味を持った方は、同社のWebサイトを訪れてみてはいかがだろうか。

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