今回のテーマは「メール」
パソコンを使った業務において、情報のやり取りの基本は"メール"になっている。人によってはクライアントと社内とのメールで一日に数百通を受け取ることもある。メーリングリスト、システムからの自動送信など、メールの使い方も様々に存在する。
最近はWebベースのメーラー(Gmailなど)が台頭してきており、ローカルPCでのメーラー利用が徐々に減ってきている。また、メール以外の情報をメーラーで受け取る手段も色々と増えてきた(RSSフィードなど)。それらによってメールを扱うスタイルにも変化が起こっている。
今回はそんなメールに注目したWebアプリケーション、オープンソース・ソフトウェア(OSS)を紹介したい。ふだん何気なく使っているメールも、これを見れば新しい使い方、接し方が生まれてくるかもしれない。
今回紹介するOSS・Webアプリ
『feedmailer』 RSSフィードをメールに変換する
『GuerrillaMail.com』 たった15分間だけのメールアドレス
『AtMail』 WebベースのAjaxメーラー
『Mail Trends』 メールを分析しグラフ化
フィードとメールを連携させるメリットとは?
名称 | feedmailer |
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URL | http://www.feedmailer.net/ |
『feedmailer』はその名のとおり、フィードをメールにして配信するサービスだ。ITに詳しい人を除くと、世間でのRSSリーダーの認知度はまだまだ低い。そのため、RSSフィードだけ配信して案内を出しても、ユーザには届きづらいのが実情だ。
だがフィードとメールと両方を作るのでは二度手間になってしまう。そこで使ってみたいのがこのfeedmailerだ。feedmailerを使えば指定アドレス(メーリングリストアドレスなど)にフィードの内容を送るようにして、そこから登録ユーザに一括配信するといったことが可能になる。
新しい情報収集のインタフェースであるRSSフィードだが、まだまだ需要はメールのほうが多い。feedmailerを使えばその両方のニーズを満たすことができそうだ。
わずか"15分間"のテンポラリメールアドレス
名称 | GuerrillaMail.com |
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URL | http://www.guerrillamail.com/ |
Webサイトへのユーザ登録を行なう際、たいてい必要になるのがメールアドレスの登録だ。だがあまり信頼できないサービスにメールアドレスを登録すると、スパムメールを増やす原因になってしまう。また、登録したメールアドレスの取り扱いがわからないと、登録に躊躇してしまうだろう。
そこで使ってみたいのが『GuerrillaMail.com』だ。ここでは制限時間15分の専用メールアドレスを発行してくれる。「Get temporary e-mail」をクリックするだけのごく簡単な操作だ。そうするとメールアドレスが発行されるので、それを使ってユーザ登録を行なえばよい。
送信されてくるメールは、GuerrillaMail.com上で確認する。再読み込みの画像をクリックすればメールボックスがリロードされ、新着メールがリストアップされる。残念ながら日本語は文字化けてしまうが、メールアドレス認証のURLであれば大体わかるだろう。
前述のとおり、15分の制限があり、それを超えるとメールアドレスが無効になってしまう。延長機能はあるが、日常的に使うものではない、試しに使ってみたい、本当のメールアドレスは登録できないといった時に使ってみたいサービスだ。
IMAPに対応したWebメーラー
名称 | AtMail |
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URL | http://atmail.org/ |
Webメーラーの代表といえばGmailではないだろうか。Ajaxをふんだんに使ったインタフェースと操作性、検索を主体とした利用法、強力なスパムフィルタリングなど、多数の機能がそろっている。現在は企業向けも提供されており、導入する企業が出始めている状況だ。
とはいえ、さまざまな事情から導入できない企業もあることだろう。だがローカルインストール型のメーラーは利用までの手間やPC紛失時のリスクなどが大きい。そこで使ってみたいのがオープンソースのWebメーラーだ。
『AtMail』はIMAP対応のWebメーラー。メールサーバは別にある状態で、そのユーザインタフェースとしてAtMailを利用する。Ajaxを使ったスムーズな操作性、ドラッグ&ドロップによるメール移動、検索、アドレス管理と使い勝手の良い機能が備わっている。
メールはサーバ内部で一元管理し、それをWebベースで見るような運用が考えられる。その場合、メールのパスワードはユーザに教えることなく運用できるのでセキュリティ的にも安全性が高くできそうだ。また、自社システムと連携させてアドレス帳を顧客管理と同期させるようなカスタマイズも考えられる。Webベースになると、ローカルアプリケーションとはまだ違うメール活用法が見えてきそうだ。
送受信メールの分析はいかが?
名称 | Mail Trends |
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URL | http://code.google.com/p/mail-trends/ |
メールは決して万能ではない。むしろデジタルなやり取りが冷たい印象を与え、話せばすぐに解決するものが、メールで数回やり取りしたために大きな問題に発展することさえある。扱う情報によってはメール以外の方法を選択したほうがよいことは多い。だが、日々の業務の中では、そうしたことに気づきにくいのも確かだ。
『Mail Trends』はIMAPサーバに接続し、そのメールの内容を解析、グラフ化してくれるソフトウェアだ。日々におけるメール送受信量、送信元ごとのメール量の推移、メールサイズでの一覧など、さまざまな角度からメールの利用状態を見せてくれる。
不要なメールのやり取りをなくしたり、むやみに添付ファイルを使うのを控えたりするだけで、メールを使った業務は大幅にスムーズになる。多用されている方ほど、一度は解析をオススメしたい。
いかがでしたか?
メールは使い勝手のよいツールだが、その便利さゆえについつい多用しすぎてしまう。日々のメール送受信数が多すぎて、本来すべき業務の時間を削ってしまっている、なんて人も多いのではないだろうか。また、スパムやローカルPC内にデータが保存されるために、PCの紛失や故障時にメールも失ってしまうリスクがある。
しかし、皆がふだんから使い、その使い方や基本操作の説明が不要で使いこなせるという利点は大きい。各種Webアプリケーション、オープンソースを使い、メールを使った業務をさらに効率的にしてほしい。
著者プロフィール
MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)
1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。