代表的なトレーニングの考え方

筋収縮には神経系、呼吸器系、循環器系、骨格系、筋肉系などさまざまな要素が関与している。どのような筋トレをすることでどの能力が強化されるのか、そのメカニズムはすべてが明らかになっているわけではない。科学的に明らかになっていることと、経験的に得られている事実からトレーニングが分類整理され、典型的なトレーニング方法の指針といったものが整理されている、という感じだ。

この筋トレは主にトレーニングしたい骨格筋に対して「負荷」「1セットあたりの回数」「何セットやるか」「セット間の休憩時間をどの程度にするか」といった組み合わせで設計されることが多い。

例えば、力こぶ(上腕二頭筋)を肥大化させてTシャツを着たときにかっこよくなりたい、といった目標を定めるとする。試しにダンベルでアームカールをやってみて、10kgのダンベルで10回もアームカールをやると腕がプルプルして動かなくなるようなら、次のトレーニングをメニューとして定める、といった具合である。

  • アームカール:「10kgのダンベル」「1セットは10回」「3セット」「インターバル1分」

動きとしては次のような感じになる。

  1. 10kgのダンベルで10回アームカール
  2. 1分休憩
  3. 10kgのダンベルで10回アームカール
  4. 1分休憩
  5. 10kgのダンベルで10回アームカール

上記のメニューは筋肥大を狙うときの典型的な筋トレ方法に沿って設計したものだ。実際には効果に合わせて個人個人がそこから調整していく感じになる。

筋力、筋肥大、筋パワー、筋持久力のぞれそれに対してよく言われている筋トレ方法をまとめると次のようになる。

目的 主な方法
最大筋力増加 1~3回で限界になる重さで3~5セット。インターバル3分以上
筋力増加と筋肥大 6~12回で限界になる重さで3~5セット。インターバル1分
筋パワー増加 20~50回で限界になる重さで2~3セット。インターバル3分
筋持久力増加 20~50回で限界になる重さで2~3セット。インターバル1~2分

さらに、ざっくりまとめるとすれば、次のような感じになるだろう。

目的 主な方法
筋力増加 かなり重いのを2、3回でやりきる
筋肥大 10回で限界になる重さでやる
筋持久力やスピード 20~50くらいで限界になる重さでやる

これはあくまでも典型的なパターンだ。すべてのメカニズムが明らかになっているわけではないし、個人差があるので、こうした基本とされるパターンを出発点にして、結果をみながらトレーニングの内容を変えていく。

なお、筋肥大が起こるときには同時に筋力も増加する。筋肉が増えると力も増える。これはわかりやすいだろう。では、筋肥大を起こさずに筋力を上げるトレーニングはいったい何なんだということになるが、こちらは動作する筋肉のパーセンテージを引き上げることで出力を上げる、と考えるとわかりやすいと思う。筋肉は常に全部動くわけでないのだ。動く割合を増やせば、筋肉量を増やさなくても筋力は増えるというわけだ。

筋力、筋パワー、筋持久力は特になんらかのスポーツを行っている場合に重要になってくる要素だ。BMIが大きめのビジネスマンと健康という観点から行くと、まずは「筋肥大」を目指しておくとよいと思う。筋肥大が進むと消費カロリーも増えるし除脂肪も期待できる。それに、筋肉が増えてちょっと筋が見えるようになってくると、モチベーションが上がってくるものだ。

ポイントは継続、休息、怪我をしないこと

筋トレが健康に効果があることは明らかになっており、除脂肪に関与することも明らかになっている。頑張ればかっこいいカラダ、きれいなカラダにデザインを変えていくこともできる。筋トレを行うと体内では即座に筋トレに対する反応が起こる。ちゃんとやればかならず応えてくれる、それが筋トレという運動なのだ。

ただし、筋トレで得られる「効果」はすごく小さい。バリバリの成長期ならいざしらず、日々の仕事で疲れたビジネスマンがちょっと筋トレをしたくらいでいきなり筋骨隆々になるかといえば、それはない。

筋トレは継続してきコツコツやることが大切だ。1回あたりで得られる目に見える効果はすごく小さい。めげることなく日常として継続することで、半年後、1年後にごほうびとして効果が見えてくる、そんな感じなのだ。

そしてもう一つ、大切なのは休息だ。成果を急いで毎日筋トレをやった場合、筋肉が増えるどころか減る可能性がある。ちゃんと筋トレをデザインし、休息もデザインする。筋トレは一生伴走するバディーだ。よって、休息もちゃんと取り込むことが大切だ。

そして、最後に怪我をしないことが大切だ。成果を急いで負荷を高め過ぎたり、無理に筋トレを行うと関節や筋を痛めることになる。バリバリの成長期ならいざしらず、普段あまり運動していないビジネスマンがいきなり無理な筋トレをするとケガをしやすい。無理をしない、休息日をもうける、その上で継続的に筋トレをする、まずはこのあたりを抑えておこう。

  • 筋トレは一生継続する
  • 筋トレには休息日をもうける
  • 筋トレで無理をして怪我をしてはいけない

有酸素運動の場合、スマートウォッチで計測することであとから負荷ステータスや成長具合のチェックなどもできるし、スマートウォッチによっては運動時にアドバイスをくれるものもある。これに比べると筋トレの場合はサポートが弱いが、それでも計測はしておこう。どの程度の頻度や時間で筋トレをしていたかという記録になるし、スマートウォッチが運動を提案する際の材料としても使われる。スマートウォッチの記録がサポート機能で活用されるので、忘れないように記録しておこう。

あと、体力について説明するときに使われることが多い言葉を一部まとめておく。

体力要素 内容
筋力 筋肉が収縮することで発生する力のこと
筋持久力 筋肉を繰り返し収縮し続けることができる力のこと
スピード どれだけ素早い動きができるか
筋パワー 筋力×スピード。瞬時にどれだけ強い力を発揮する能力があるか
筋肥大 骨格筋を構成する細胞が肥大化し、筋肉が大きくなること

最終的に自分に合った筋トレは自分で見つけていくことになるので、自分で調べる際の参考にしてもらえればと思う。

次回からは、日常に筋トレを取り込んでいく方法を紹介していく。継続すること、休憩すること、怪我を回避すること、ビジネスマンにはこれが大切だ。このあたりを抑えて、続けられる筋トレを設計していこう。

参考