スマートウォッチと筋トレの関係性

スマートウォッチは主に心拍数を通じて体の状態をモニタリングする。このため、心拍数に変化が出やすい有酸素運動と相性がよい。ウォーキングといった低強度~中強度くらいの運動であっても、スマートウォッチはその変化を捉え、糖質や脂質の燃焼状況を推測したり、心肺機能の強化具合や、身体にかかる負荷などを推定したりしてくれる。

  • Polar Vantage V2

    Polar Vantage V2

一方、筋トレのような心拍数があまり上がらない運動とスマートウォッチはあまり相性がよくない。相性というか、スマートウォッチによる自動モニタリング機能が効きにくい。中には、レップを検出して自動記録するスマートウォッチもあるが、特定のトレーニングに限られているし、スマートウォッチを付けているだけでどこの筋肉にどの程度の刺激が入ったか、といったことは推測できない。計測の仕組みを考えても、この状況はしばらく変わらないように思える。

だからといって、筋トレをしなくてよいかといえば、そんなことはない。筋トレが健康に効果的であることは統計データから明らかになっている。筋肉が健康において重要な役割を果たしていることがわかっており、筋トレはぜひとも『日常』の一部にしてしまいたいのだ。

日常的にウォーキングすることはそれほど敷居の高くなかったと思うが、筋トレは違うかもしれない。その必要性が納得できないと、日常的に筋トレをするのは難しいところがある。しかし、効果がわかり、そこに至る「ロジック」を飲み込めることができれば、日常的に筋トレをすることはそれほど難しくないのだ。今回はその辺りを取り上げる。

スマートウォッチで筋トレを計測したサンプル

なお、筋トレの計測を比較的細かくやってくれるスマートウォッチを使って計測を行い、かつ、手動でデータの編集なんかも行うと、次のような感じで筋トレデータを記録しておくこともできる。

  • Garmin fenix 6Sによる筋トレの計測結果サンプル

    Garmin fenix 6Sによる筋トレの計測結果サンプル

  • Garmin fenix 6Sによる筋トレの計測結果サンプル

    Garmin fenix 6Sによる筋トレの計測結果サンプル

  • Garmin fenix 6Sによる筋トレの計測結果サンプル

    Garmin fenix 6Sによる筋トレの計測結果サンプル

有酸素運動のときと比べるとより細かく操作しないといけないし、あとから編集も必要だ。こんな感じで細かく記録できるデバイスもあるということは知っておいてもらえればと思う。筋トレを運動の中心にしたいなら、こうした機能を備えたスマートウォッチを選んで購入するのも手だ。

筋トレで健康とオシャレをサポート

なぜ「筋トレ」をするかだが、何もしないと筋肉が減るからだ。成長期は筋肉が増えるが、成人以降に何もしないとほとんどのケースで筋肉は年々減少する。筋肉が減ることでさまざまな影響が出るのだが、簡単に言えば健康によくないことが増える。

筋トレをすることで筋肉の減少量を抑えることができるほか、現状の筋肉量を維持する、または、さらに筋肉量を増やすことができる。筋肉が増えると、ビジネスマンとしては複数の効果を期待できる。注目しておきたい効果は、ざっと以下のようなところだろう。

健康維持

適度な筋肉量を維持することは健康によい効果をもたらす。また、筋トレそのものが健康に効果的であることも知られている。運動不足や筋肉不足で発生する不具合を避けるためにも、筋トレを日常に取り込みたい。

脂肪燃焼

筋トレ時の脂質燃焼量はそれほど多くない。しかし、筋トレ後に脂質燃焼効果が高まった状態が続くことがわかっているほか、長期的に見て筋肉量が増えると基礎代謝が増え、その分カロリー消費量が増えることを期待できる。劇的なカロリー消費量の増加ではないものの、日常に筋トレを組み込んでコツコツ取り組んでいくことで、長期的に太りにくい肉体へ変わっていくことが期待できる。

かっこいい&きれいなカラダをつくる

筋トレはカラダのデザインを設計して変えることができる運動でもある。例えば、「スーツを着たときの肩幅を少し増やしたい」「ヒップを上方へ引き上げたい」「Tシャツを着たときの胸板を厚く見せ、前腕を逞しく見せたい」など、筋肉を「増やす」方向でのデザインであれば比較的実現可能だ。

腰をキュッと締めたいといった「減らす」方向を実現するのは除脂肪なので、減らす方向はこれまでの取り組みを続けるしかない。しかし、除脂肪は部分的に行うことは基本的にできないと考えられており、全体的に減らすしかないと考えられる。

デザインをより積極的に変えやすいのは「増やす」ほうだ。除脂肪をしつつ筋トレを加えることでカラダをデザインする幅が広がる。自分の考えるかっこいいカラダ、うつくしいカラダを目指して筋トレをするのは、結構高いモチベーションになる。

ただし、一口に筋トレと言っても、どの能力を引き上げたいかによって効果的なトレーニング方法が違う。トレーニング方法を間違えると得たい結果が得られにくくなる。筋トレを始める前に、こうした基礎知識を得てロジックを固めておこう。

筋トレで鍛えられるもの

筋トレ(筋力トレーニング)は、何らかの負荷(抵抗)をかけた状態で骨格筋を収縮させる運動のことをいう。バーベルを使ったベンチプレスや、ダンベルを使ったアームカールなんかがわかりやすいと思う。器具を使わない腕立て伏せや腹筋、スクワットも筋トレだ。見た目上は収縮が発生しないような運動(例えば、壁を押すといった運動)も筋トレになる。

このトレーニングで狙える主な能力や結果は次のようなものになる。

筋トレの狙い 内容
筋肥大 骨格筋を構成する細胞を肥大化させ、筋肉を大きくする(基礎代謝増加、筋力増加効果もあり
筋力 筋肉が収縮することで発生する力を維持・向上させ
筋持久力 筋肉を繰り返し収縮し続けることができる力を維持・向上させる
筋パワー 瞬時に強い力を発揮する能力(筋力×スピード)を維持・向上させる

筋トレをすると筋肉が大きくなり、筋力も増える、と、思われがちだが、筋肉を大きくしないで筋力だけを増やす方法もある。筋力は増やさずに持久力を強化することを狙う方法もある。持久力は増やさずに筋肥大を狙う方法もある。一口に筋トレといっても、狙いによってトレーニング方法はさまざまだ。