サーバやネットワーク機器のリユース(中古再生)品を利用する企業が増えている。これまでお伝えしてきたように、リユース機器には、ITコストの抑制という価格面でのメリットだけではなく、新品では得られにくいさまざまなメリットがある。

ホテル・旅館向けにクチコミ情報管理サービスや宿泊料金検索サービスを展開するパラダイムシフトも、そうしたメリットをうまく活用している企業の1つだ。パラダイムシフトの古瀬路里氏(メディア事業本部本部長)、浜田和法氏(インターネット事業本部メディア開発事業部)、小山内 宙氏(同)の3名と、リユースサーバ/ネットワーク/PC機器を展開するデータライブの代表取締役社長山田和人氏の座談会から、リユースサーバ活用のヒントを探る。

パラダイムシフト

2005年に設立されたパラダイムシフトは、旅行関連サービスを中心としたECや広告、メディア、レンタルサーバなどの事業を展開する企業。インターネット上のレピュテーション/クチコミ情報を複数のサイトから情報収集して一元管理できる「RepCheker(レップチェッカー)」、宿泊料金やクチコミを一括して横断検索できる「PriceCheker(ファイナルチェッカー)」、そのBtoC版である「FinalChecker(ファイナルチェッカー)」といったユニークなサービスを展開する。

また、無料ホームページサービス「TOK2」の運営元としても知られており、運営開始から10年を経た同サービスは、会員数70万人を超える大型サービスとなっている。そのほか、開始から2年で会員数4万5000人、月間4500万PVを誇る無料ホームページ/ブログサービス「SITEMIX」、10GBの大容量法人向けレンタルサーバサービス「BizServe」、二段階定額制レンタルサーバサービス「BFit」なども手がける。

現在、新規申込者を対象に有料レンタルサーバー「TOK2プロフェッショナル」を3年間5000円で提供する期間限定のキャンペーンを実施中。詳細はこちらのWebサイトを参照。

SaaSで活用、最大の魅力は納品が"とにかく早い"こと

──リユースサーバを利用するきっかけは何だったのでしょうか。

パラダイムシフト メディア事業本部 本部長 古瀬路里氏

古瀬: 当社では、ここ1年あまりの間に新しいサービスを次々と展開してきました。2009年4月にはRepCheker、7月にはPriceChecker、10月にはFinalChekerをそれぞれ正式オープンさせ、2010年に入ってからは、2月にFinalChekerのゴルフ版、8月には海外ホテル版がスタートしました。サービスをスピーディーに展開し、機能の改良を図っていくうえで、サーバの迅速な調達も必要になり、その過程でリユースも視野に入れるようになったのです。

山田: これまでデルのPowerEdge1950を2台、PowerEdgeR300を3台リユースで導入されています。旅行関連サービスやホスティングサービスなどでお使いになられているのですか?

古瀬: そうですね。クチコミ情報や価格情報のデータ処理やサービスを補完する機能の追加開発などで利用しました。

データライブ 代表取締役社長 山田和人氏

常に更新が必要なインターネットサービスでは、どういったタイミングでサーバが不足するかの予測はむずかしい。新品のサーバの場合、納品まで2週間程度かかるのが普通ですから、在庫状況ですぐにでも対応いただけるので大変助かります。今回も急な問い合わせを差し上げたにも関わらず、驚くほどの早さで納品していただきました。

山田: 納品までのレスポンスの速さは、特に気をつけているところです。サーバが壊れて初めて相談を受けるというケースが非常に多いですから、翌日納品にもできる体制を整えています。

HDDだけ入れ替えて利用、不安よりもメリットのほうが大きい

──リユースの利用は初めてのことですが、サーバ管理を担当されている浜田さんと小山内さんは、不安を感じたりはしなかったのですか。

パラダイムシフト インターネット事業本部メディア開発事業部 浜田和法氏

浜田: 特に感じなかったですね。新品と比べて性能が劣るわけではありませんし、急いでいるときにすぐに手に入るという安心感のほうが大きいです。

ホスティングの際に大容量のHDDが必要になるので、HDDだけは新品と入れ替えていますが、それ以外の部分では抵抗感はありません。HDD以外が壊れることはほとんどありませんし、壊れたら取り替えればいいという発想です。

小山内: 同感です。あとは、どのくらいのメモリが載せられるかといったスペックを比較しながら、用途に合ったサーバをその都度探せばいいと思います。

当社は現在、約80台の物理サーバ上で仮想サーバを約180台を稼働させていて、今後スケールできるようにしています。リユースを利用する際のポイントとしては、価格以外では、納期、スペック、拡張性が挙げられるのではないでしょうか。

パラダイムシフト インターネット事業本部メディア開発事業部 小山内宙氏

山田: 中古マーケットが広がっているアメリカでは、中古と新品の境目がなくなってきています。中古であっても独立系のメンテナンス会社がメンテナンスするという環境が整っていますので、お客様自身が中古を重要な調達リソースとしてとらえています。今後は、国内でも、御社のようなスタンスの会社が増えていくのかなと思います。

──現在ロードバランサの購入を検討中とのことですが、今後データライブさんに期待することはありますか。

古瀬: 変わらぬレスポンスの早さ、というのが第一です。品質面では、納品前にチェックしてもらっているということが安心感につながっています。

今後の導入を予定している機器については、機器の細かな仕様といった我々では分からないところも多いので、そういう面での提案いただけることを期待しています。