今回は自宅から働く環境を快適にするために、どのようなアクセスポイントを選ぶと良いか、少し考えてみたいと思います。

みなさんの”働き方”は、どのように変わりましたでしょうか? 新型コロナウイルスをきっかけとした在宅勤務だけではなく、業務効率化のため直行直帰など、家での仕事を組み合わせた働き方が増えてきているかと思います。家での仕事内容も、メールや資料作成といったものだけでなく、同僚との社内Web会議、さらには顧客とのオンライン商談など、仕事の密度や重要度が増しているのではないでしょうか。

そんな中、家の無線接続端末はどうなっているのか、どのようなものが接続されているでしょうか? 会社支給のPC/スマートフォン/タブレット、プライベートPC/スマートフォン/タブレット、TV/DVDレコーダ/ゲーム機/やスマートウォッチ/スマートスピーカーといった具合に、無線接続される端末が飛躍的に増加し、実は家庭内の無線端末数は小規模オフィスと変わらないくらい増えてきています。またトラフィック自体も、オンライン会議/授業、YouTubeといった通信が増えてきています。私の家では、常時11台の端末が無線接続されています。

家での仕事時間・仕事密度が増えているにもかかわらず、設備を変えずにいて不自由していませんか? 小規模オフィスと変わらないくらいに無線接続端末が増えていますので、端末過多に起因する「無線通信が安定しない」といった品質ストレスを感じている方も多くいると思います。そんな方は、業務用アクセスポイントを選択肢の1つにしてはいかがでしょうか? 業務用アクセスポイントは、オフィス活用を想定した製品が大多数となっており、端末が増えすぎた在宅勤務環境でも過不足なく活用いただける製品も見つけられます。

では、どのような業務用アクセスポイントを選択するといいのか、在宅勤務環境を想定した際の選ぶポイントを、3つほど紹介します。

1.すっきり設置

業務用アクセスポイントは、Wi-Fiルータのようにルータ機能が搭載されておらず、アクセスポイント機能のみ提供される製品がほとんどです。家庭の既存環境に追加する際、Wi-Fiルータはそのまま活用し、LANケーブルで接続する設置方法が一般的になると思います(Wi-Fiルータの無線機能をOFFにする前提となります)。LANケーブルの長さ分、アクセスポイント自体をWi-Fiルータから離して設置できますので、普段仕事をする場所の近くに設置するケースが増えてくると思います。そのため、アクセスポイント自体は外付けアンテナがないモデルや壁掛けマウントキットも同梱されているモデルを選択することで、家の中での悪目立ちを防ぎ、満足度も上がるのではないでしょうか。PoE受電に対応したモデルも多く存在すると思いますので、PoEスイッチと組み合わせて活用し、コンセントから遠い場所への設置といった選択肢も出てくるかと思います。

  • Meraki Goの筐体

2.かんたん設定

最近ではアクセスポイントに接続して設定する方式ではなく、スマートフォンのアプリを通じて設定する製品も出てきています。家庭で利用するアクセスポイントであれば、このような製品を選択することで、“かんたんに設定”できると思います。

利用機器登録画面

例えば、Meraki Goシリーズのアクセスポイントでは、シンプルに作られたMeraki Go Appと呼ばれるスマートフォンアプリから、誰でも簡単に設定できる点が大きな特徴になっています。アクセスポイントとして使い始めるために必要な設定は、わずか2ステップです。

1つ目は利用機器の登録で、アプリ画面の指示に従い、本体裏のQRコードをスマートフォンで読み取れば完了です。2つ目が無線部分のネットワーク設定(SSID設定)です。無線設定となると、専門用語が出てきて難しいイメージがあるかもしれませんが、Meraki Go Appでは、ネットワーク名とパスワードを設定するだけで完了となり、設定に不安を覚える方も、かんたんに使い始めるイメージが湧くのではないでしょうか。

また、クラウド管理型の製品を選択すると、家だけでなくインターネットが繋がれば、どこからでも設定や確認が可能となります。同居者がいる家庭の場合、無線通信に何かあった際、どこからでも状況が確認できる製品を活用することで、同居者の満足度向上に繋げられる可能性もあります。

3.かんたん拡張

間取りや壁素材の影響で電波が届きにくい環境では、2台のアクセスポイント活用が必要になるケースが出てくるかもしれません。こんな場合を想定して、メッシュ方式(無線の親機子機)に対応したモデルをあらかじめ選択しておくことも、大きなポイントとなります。その際、LANケーブル接続による拡張と無線接続のメッシュ方式(無線の親機子機)のどちらにも対応可能なモデルだとさらに安心できます。

LANケーブル接続による拡張では、追加アクセスポイントに個別で設定せず、設定情報を同期できる機能があると拡張がとてもかんたんです。例えば、Meraki Goアクセスポイントでは、アプリで追加の機器登録をするだけで、同じ設定情報が反映されます。無線接続のメッシュ方式では、LANケーブルの配線が難しい環境でも、2台目以降のアクセスポイントを設置できます。LANケーブルでの接続、メッシュ方式での接続を使い分け、“家中どこでもWi-Fiにつながる環境”へ、かんたんに拡張することが可能です。

今回は自宅から働く環境を快適にするために、業務用アクセスポイントを選ぶ時のポイントを紹介しました。次回は、さらにこんな機能があるともっと快適になるオプション的な機能を考えてみたいと思います。

著者:冲中 恒雄


シスコシステムズ SMB・デジタル事業本部 ビジネス ディベロップメント マネージャ
2011 年 シスコに新卒入社。
入社後はシステムズ エンジニアとして、主に企業向けのネットワーク運用管理全般および製品を担当。
2016年よりビジネス開発担当として、中小企業向けの市場開発に奮闘中。