世界最高峰の半導体集積回路技術に関する国際会議「2026 IEEE International Solid-State Circuits Conference (ISSCC 2026)」が、2026年2月15〜19日に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催される。今回のメインテーマは「Advancing AI with IC & SOC Innovations(ICとSoCの革新でAIを進化させる)」である。
会議の技術プログラムを紹介する前に、論文の投稿・採択状況を紹介し、今年の傾向を探ってみたい。
採択率25%と狭き門、応募も採択件数も中国が最多
ISSCC 2026の論文投稿数は1025件で、前回のISSCC 2025から12.1%(111件)増加し、初めて1000件を超えた。応募件数は、中国勢の増加により2024年以降急増しており、うなぎのぼりの状況にある。採択数は前回から8件増え、257件となったが、投稿数が1000件を超えたことから採択率は過去最低の25.1%にとどまった。つまり4件に1件しか採択されないきわめて狭き門となった。
過去5年間の採択論文の分野ごと割合を見ると、パワーマネジメントとRFとメモリがそれぞれ10%以上を占めているが、ISSCC論文委員会は、従来通りどの分野からもバランスよく採択されているとしている。イメージセンサ(イメージャ―)・センサ・ディスプレイ分野から独立し新設されたメディカル分野は6%を占めており、イメージセンサなどの分野が2025年の10%から6%に減少しているのはそのためであり、イメージセンサの採択件数が減少したわけではない。
日本からは科学大、東芝、ルネサスなどから計12件が発表
ISSCC 2026では、18の国と地域の論文が採択された(筆頭著者の所属先の所在国をもとに集計)。採択論文の投稿組織別では、大学が75%、企業が20%、研究機関が5%だった。中国と欧州で研究機関の比率が増加している。ISSCCの地域(大陸)別採択論文数の件数を見ると、APAC(アジア太平洋地域)が169件と最多で、前回に続いて全体の3分の2を占めた。EWAA(欧州/西アジア/アフリカ、事実上EU)は前回の28件から37件に増加した一方、AM(南北アメリカ、事実上は北米)は57件から51件に減少した。国/地域別に見ると、前回に続いて中国(香港/マカオ含む)が今回も採択数を伸ばし、96件に達して、2位の米国(50件)、3位の韓国(45件)に大きく差をつけた。台湾は前回の20件から11件に大きく減少したが理由は明らかではない。日本は、10年前には20件以上採択されていたが、このところ10件前後で低迷してきたが、2026年は2025年の8件から4件増の12件となった。これを前年比5割増として件数増加の兆候と見るか、それとも10件±数%のばらつきの範囲なのかは、次回以降の様子を見ないと判断できない。
日本の機関で複数の論文が採択されたのは、
- 東京科学大学(旧東京工業大学、略称は科学大、Science of Tokyo)3件:新規デバイス、RF回路、ワイヤレス分野
- 東芝2件:パワーマネジメント分野、電源管理
- ルネサス エレクトロニクス2件:デジタル要素回路技術、メモリ
そのほか、1件採択は、旭化成の子会社である旭化成マイクロデバイス(データコンバータ分野)、大阪大学(新規デバイス分野)、京都大学(セキュリティ分野)、ソニー子会社であるソニーセミコンダクタソリューションズ(データコンバータ分野)、東京大学(RF回路分野)の5組織となっている。
なお、ISSCCには、技術カテゴリ別に13のサブコミッティ(応募論文の選考にあたる技術別委員会)があり、技術カテゴリの略号は、サブコミッティの略号でもある。
中国勢が躍進のISSCC、低迷が続く米国、存在感が薄れる日本勢
香港・マカオを含む中国発の採択論文数は前年比4件増の96件と、採択論文全体の37%を占めた。清華大学(Tsinghua University)が昨年の18件からさらに増やして25件と他を圧倒したほか、北京大学(Peking University)やマカオ大学(University of Macau)、復旦大学(Fudan University)も採択論文数で上位に入った。
対照的に米国は低迷が続く。採択論文数は前年比5件減の50件となり、国別の占有率は19%にとどまった。中国がISSCCの採択論文数で米国を抜いて初めて首位に立ったのは2023年で、それ以降、両者の差が広がっている。大学や研究機関を含む米国の低迷に「Intelの業績不調が影響している可能性はある」とISSCC関係者は見ている。
後編となる次回は、ISSCC 2026のプログラムや注目論文を紹介したい。






