ロームは2019年1月16日から18日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている、自動運転、クルマの電子化・電動化、コネクティッド・カー、軽量化など、自動車業界における先端テーマの最新技術が一堂に介する展示会「オートモーティブ ワールド 2019」において、「世界一技術」と銘打った電源ICやオペアンプなどのほか、複数の開発中の製品などのデモ展示を行っている。
ローム、Nanoってる
これまで同社はあまり自社の技術を世界一と銘打つことは表立ってはなかった。しかし、例えば今回、世界一技術とうたっているデバイスの1つである、48V入力に対応し、2MHz動作で3.3Vまで降圧できるDC/DCコンバータ「BD9V100MUF-C/LB」では、世界一技術の要素である「Nano Pulse Control」を活用することで、最小ON時間を競合の最高性能品と比べても1/10となる9nsを実現するなど、相当な自信を持って送り出せるものであると判断されたものだけが、この称号を冠することができたという(社内に相応の審査基準が設けられているという)。
そのため、今回の同社ブースでは、世界一技術としての統一感にこだわりを持った展示が行われており、担当者によると、上述のNano Pulse Controlの紹介などでは、「ローム、Nanoってる」といったフレーズを使うことなども考えていたそうで、将来的には、ロームとして、誰が見ても、その技術がすごそうだ、と思えるような技術ブランドを構築していきたいとしている。
STマイクロと非接触給電+NFCソリューションを開発
また、同社ブースではSTマイクロエレクトロニクスと協力して開発が進められている、STマイクロのNFCリーダライタICと8bitマイコンと、ワイヤレス給電のQi規格を組み合わせた15W供給可能なマルチコイルタイプの充電ソリューションのデモが行われている。
これは、車載用途としてのNFCの認証機能の活用が期待されること、ならびに車載向け充電の標準規格としてQiが採択されたことなどを受けて開発が進められているもので、モバイル端末の充電と、車内のBluetoothやWi-Fiネットワークへのペアリングを1つの動作で可能とするソリューションを実現しようというものとなっている。
このほかにも開発中の製品としては、ローカルディミング対応LCDバックライトLEDドライバや、電子ルームミラー向けディスプレイコントローラなどの紹介も行われている。開発中のバックライトLEDドライバは、バックライトLEDを液晶パネルの直下に配置することで、暗い部分は暗いままに黒を強調し、映像表示したいところだけを照らすことを可能とするもの。通常の液晶ディスプレイは、バックライトを全面にあてるため、黒の表示があまり得意ではないが、こうした手法を採用することで、暗部の表現能力を高めることができるようになるという。ただし、パネル直下型といった、これまでにないようなバックライトの配置方法であったりするため、基板の構築なども含め、まだ製品化までに時間がかかりそうとのことで、今回はデモ展示を行っていないという。