Excelに慣れている中級者以上の方なら「相対参照」と「絶対参照」の違いを理解できているだろう。また、応用的な使い方として「行」または「列」だけを固定したセル参照もある。今回は復習の意味も兼ねて、セル参照の記述について紹介していこう。これまで「$」の意味をよく理解していなかった方は、この機会にぜひ学習しておくとよい。

数式や関数をコピーしたときの挙動

数式や関数をオートフィルでコピーするには、「相対参照」と「絶対参照」を正しく使い分けておく必要がある。さらに「$」の記号を上手に活用することで、通常ではコピーできない数式・関数をコピー可にできるケースもある。ということで、今回はセル参照の記述方法について詳しく解説していこう。

  • 「相対参照」と「絶対参照」の使い方と応用例

相対参照と絶対参照は、Excelの新機能の「スピル」に関連する部分もあるので、この機会にしっかりと復習しておくとよい。

まずは、極めて簡単な例から紹介していこう。以下の図は「単価」×「数量」を計算する数式を入力した例だ。

  • (単価)×(数量)を計算する数式

この数式をオートフィルでコピーすると、以降の行についても「単価」×「数量」を正しく計算できるようになる。

  • 数式をオートフィルでコピー

上図は、初心者向けの解説書にも必ず記載されている一般的な操作例といえるだろう。念のため、コピーされた数式が「どのような記述になっているか?」を確認してみよう。適当なセルをダブルクリックして数式の記述内容を確認する。

  • コピーされた数式の確認

上図の例では、「=C3D3」と入力した数式が「=C6D6」に変化していることを確認できる。つまり、数式内の“セル参照”をExcelが自動補正してくれたことになる。

ただし、Excelが数式の内容を分析して、常に正しく補正してくれる訳ではない。セル参照の自動補正は、特定のルールに従って“機械的”に補正されているに過ぎない。

C3やD3のように「列番号」と「行番号」をそのまま続けて記述すると、そのセル参照は「相対参照」として扱われる。この場合、数式や関数をコピーした方向に応じて、以下のようにセル参照が自動補正される仕組みになっている。

◆下方向へコピーした場合
「行番号」が1つずつ加算されていく

◆右方向へコピーした場合
「列番号」が1つずつ加算されていく

◆上方向へコピーした場合
「行番号」が1つずつ減算されていく

◆左方向へコピーした場合
「列番号」が1つずつ減算されていく

数式や関数が正しくコピーされるように、AI(人工知能)が自動補正してくれる訳ではない。将来、そのような機能がExcelに搭載される可能性も考えられるが、現時点では“機械的”にセル参照を自動補正しているだけだ。この点を勘違いしないように注意しておくこと。

絶対参照が必要になる例

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